ジブリ作品初のミュージカル『おもひでぽろぽろ』に挑戦の元宝塚雪組トップスター朝海ひかる、復興を目指す出身地・仙台の姿に「励まされる」
15日、スタジオジブリの映画『おもひでぽろぽろ』を原作としたミュージカル「おもひでぽろぽろ」のゲネプロ(全体リハーサル)が天王洲 銀河劇場で行われ、主演の元宝塚雪組男役トップスターの朝海ひかるが、共演の三重野葵と共にマスコミ向け囲み取材に応じ舞台をPRしたほか、故郷である仙台への思いを語った。
映画『おもひでぽろぽろ』の脚本と監督を務めた高畑勲監督や、宮崎駿監督と古くから親交がある劇団「わらび座」が、スタジオジブリの協力の下、ジブリ作品初のミュージカルとして上演する本作。秋田を拠点に活動する「わらび座」と、共に仙台市出身の元タカラジェンヌである朝海と杜けあきの2人がタッグを組み、美しい東北の大地を舞台に繰り広げるミュージカルという、まさに東北の力を結集したような作品だ。
主人公のOLタエ子を演じる朝海は「『風の谷のナウシカ』から、ずっとジブリ作品のファンなので今回演じることができてうれしい。その世界観を表現すべく、自分を解放して頑張りたいと思っています」と意気込みを語った。さらに、作品について「家族団らんや、人間が土と共に生きていたころなど、現代では失われてしまったものがいろいろと入っています」とその魅力をアピールした。
そんな朝海の顔が曇ったのは、マスコミ陣から被災している故郷の仙台について聞かれたとき。「(現地の人々が震災から復興しようとしている姿を見ると)かえって自分のほうが励まされる感じがしています」と真摯(しんし)な表情で語った。個人で被災地のために募金活動などをしているという朝海だが、この日は震災については多くを語ろうとせず、「くしくもこの時期での上演ではありますが、何か特別なメッセージとかではなく、自然に作品を感じて欲しいと思っています」と本作のPRに務めていた。その後ゲネプロが始まると、朝海はOLとして浮かない顔で働く地味な姿から、やがて田舎に行き自然に触れてのびのびする表情を見せるヒロインを、美しい歌声を披露しつつダイナミックに演じていた。
「おもひでぽろぽろ」は岡本螢、刀根夕子による同名コミックを基にした劇場用長編アニメーション映画『おもひでぽろぽろ』のミュージカル版。都会暮らしに疲れたOL・タエ子(朝海)が、山形への旅に出て自然と共に生きる人々と触れ合い、自分らしい生き方を見つけていく姿を描く。(古河優)
ミュージカル「おもひでぽろぽろ」は2011年4月16日~4月29日まで天王洲 銀河劇場で公演(19日と25日は休演日)。その後、5月8日~7月22日、8月21日~2012 年1月3日まで秋田県のたざわこ芸術村内「わらび劇場」にて上演される予定。