ハリケーンの悪影響がボックスオフィスにも直撃!今年2番目に低い週末興収-8月29日版
全米ボックスオフィス考
この週末はアメリカ東海岸にハリケーンが上陸するという予報が出され、ニューヨーク市の動物園が閉園されたり、バスや地下鉄までもが運転を見合わせるなど、大変な騒ぎとなったが、そんな状況にも負けず映画『ザ・ヘルプ(原題) / The Help』が、今週デビューしたばかりの新作をけ落として2週連続トップをキープした。
先週と比較してもたったの27.4パーセントの収益減と、チャート上位の他作品と比べても非常に低い降下率となっており、評判が評判を呼んで客足につながっていると見られており、公開19日で9,683万ドル(約77億4,640万円)の収益を上げてまだまだ余力を残している雰囲気がある。(1ドル80円計算)
今週第2位は、リュック・ベッソンが脚本とプロデューサーを務めたアクション・サスペンス映画『コロンビアーナ(原題) / Colombiana』で1,041万ドル(約8億3,280万円)。女殺し屋もので、「またか~!」という感があったものの堂々の第2位にランクインし、先週第2位だった映画『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』をはねのけた。配給のソニー・ピクチャーズによると、週末に同作品を観に来ていた57パーセントが女性客、そして65パーセントが25歳以上の観客であったという調査結果が発表されている。
第3位は、先週から45パーセントの収益減となった『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』で887万ドル(約7億960万円)。公開24日で、今夏のヒット映画『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』に差をつけてトータル1億4,870万ドル(約118億9,600万円)の収益を記録しており、依然その数字は更新中である。
そして今週第4位は、こちらもリュック同様に監督としておなじみのギレルモ・デル・トロが脚本、プロデューサーを務めた映画『ドント・ビー・アフレイド・オブ・ザ・ダーク(原題) / Don’t Be Afraid of the Dark』。デビュー週末で853万ドル(約6億8,240万円)とかなり残念な結果となってしまったが、ケイティ・ホームズとガイ・ピアースという両人とも少々弱い主役陣、そしてデル・トロ監督が目をかけたといわれているものの、ほとんど前評判がなかった監督がメガホンを取ったということで映画自体が話題性に欠けていたということに加え、決して大掛かりとはいえないスタジオ側のPR作戦、そしてハリケーンの悪天候というトリプルパンチがこの作品から勢いを奪ってしまった。
今週トップ5最後は、映画『アワ・イディオット・ブラザー(原題) / Our Idiot Brother』で701万ドル(約5億6,080万円)。日本ではほとんど無名で、アメリカでさえ超地味なのになぜか出演作品が多いポール・ラッド主演のコメディー映画である。この作品のすごいところは製作費がたったの500万ドル(約4億円)で、デビュー週末収益が701万ドル(約5億6,080万円)と、すでにガッチリ元を取っているところである。PRに要した金額はさておき、昨今の厳しい経済状態で製作に掛かったお金はきちんと稼ぎ出しているという、ここらへんが地味でも出演作品が多いポールの人気のゆえんなのかもしれない。
今回の全米映画ランキングはご覧になってもおわかりの通り、ハリケーンの影響でかなり低迷しており、全米ボックスオフィスにとっては魔の週末(!?)にあたる2月のスーパー・ボウル週末興収8,730万ドル(約69億8,400万円)に次いで今年2番目に低い週末興収で9,300万ドル(約74億4,000万円)となっている。東海岸の人々が悪天候のせいで家で週末を過ごすことを余儀なくされ、その影響が全米ボックスオフィスの結果にもダイレクトに表れた形となった。
次回のチャート予想だが、夏の大作シーズンも終わりを迎えてラインナップに秋の静けさ(!?)が漂い始めてきた。トップ5に入るか入らないか程度の新作が2本。一つ目は、サスペンス・ホラー映画『アポロ18(原題) / Apollo 18』。宇宙版『ブレア・ウイッチ・プロジェクト』といっても過言ではない作品だ。この作品の監督もまったくの無名である。
二つ目はヘレン・ミレン出演のサスペンス映画『ザ・デット(原題) / The Debt』。監督は、映画『恋におちたシェイクスピア』のジョン・マッデンが務め、映画『アバター』『ターミネーター4』などで勢いのあるサム・ワーシントンも出演している。上位入りするかは、来週のお楽しみだ。(文・ロス取材:明美・トスト/Akemi Tosto)