『セカンドバージン』は過激で『セカンドチャンス』に!ラブシーンは鈴木京香と長谷川博己の音声だけ!マレーシアの厳しい検閲事情!
若いころに離婚して以来、20年以上男性と関係を持たず“セカンドバージン”となったキャリアウーマンが、17歳年下の男と激しい恋に落ちていく模様を描き話題を呼んだドラマを映画化した『セカンドバージン』が、マレーシアで行われた日本映画祭のオープニングでプレミア上映された。日本では、なんのレーティングもついておらず、小学生の子どもでも観ることができる本作だが、検閲が厳しいことで有名なマレーシアでの上映は、ラブシーンでスクリーンが真っ暗になり、主演の鈴木京香と長谷川博己の愛し合う音声だけが映画館に響きわたった。
本作は、2010年10月よりNHK総合にて放送された大石静脚本によるドラマを映画化した作品。若くして結婚と出産を経験し、離婚以来仕事一筋に生きてきたキャリアウーマンの主人公・中村るいが、妻のいる17歳年下の男性と激しい恋におちていく姿を描き、女性たちから共感を呼んだ。「NHKでこんなシーンを放送していいの!?」という驚きの声も上がったほど、ラブシーンも数多く登場した本作だが、映画版ではさらに過激なベッドシーンが登場する。
イスラム教を国教とするマレーシアでは、ASEAN6か国の中でも、最も検閲が厳しいと言われており、日本でも大ヒットしているレディー・ガガの「Born This Way」(ボーン・ディス・ウェイ)も、「ゲイもストトレートもレズビアンも性転換者も関係ないわ!」という歌詞にノイズがかけられて放送されたほど。ラジオ局でノーカット版を流すと、約100万円以上の罰金が課せられたそう。今年の6月には、こうした検閲の厳しさに抗議した国際ハッカー集団“アノニマス”が、“オペレーション・マレーシア”と称してマレーシア政府のインターネット・ポータルへのサイバー攻撃を行なった事件も起きた。
映画『セカンドバージン』というタイトルも、マレーシアでは『セカンドチャンス』に変わり、鈴木と長谷川の上半身裸が写された日本版ポスターも別バージョンに変更。ハリウッド映画のキスシーンもカットとなるマレーシアだが、日本からフィルムを持参したため、カットすることはできず、車中でのキスシーンを含む3つのシーンが、計4分間、映写機に黒い紙をかざしてスクリーンを真っ暗に暗転し、二人の官能的な音声だけは映画館に響きわたるという異例の上映となったが、実際に映画を観た観客は、「絵がなくても、音声だけでも刺激されてしまった」とやはり過激だったよう。
日本人には、驚きの上映方法だが、婚前交渉はもちろん、結婚前の男女が密室で会うことも許されていないイスラム教で不倫は御法度。昨年には、不倫の罪で三人の女性がむち打ち刑に処されたことが話題にもなった。現地の映画サイトの記者に話を聞くと、「不倫を描いた映画が上映されたこと自体がすごいこと。詳しい事情は分かりませんが、この映画がマレーシアで撮影されたことや、悲劇的な結末であることもよかったのかもしれません」と言う。
タイトルの変更や、シーンの“暗転措置”を聞かされた鈴木は、おどろきながらも、「現地スタッフと一緒に仕事をしたロケでは、いろんな文化、考えの人と打ち解け合って撮影した映画です。タイトルが変わったことも、決して残念ではなく、今回みたいな形はかえっていいことだとおもいます」とロケを通して大好きになったというマレーシアで上映されること自体によろこびを感じている様子だった。上映前には、「どうかおおらかな気持ちで観てください」と語りかけた長谷川の思いに応えるように、上映後の観客たちの感想は、「国境を越えても二人の愛は伝わった」「感動的で泣いちゃいました……」と、美しい純愛がスクリーンを通して伝わったようだった。日本での公開は、来週23日から。マレーシアの力強い自然を舞台にした本作で、美しく、静かな大人の愛に酔いしれて欲しい。(編集部:森田真帆)
映画『セカンドバージン』は、9月23日より全国松竹系にて公開