ラース・フォン・トリアー監督の話題作『メランコリア』について、主演女優キルステン・ダンストを直撃!
現在開かれているニューヨーク映画祭(N.Y.F.F. 49th)に出展されているラース・フォン・トリアー監督の話題の新作『メランコリア / Melancholia』について、映画『スパイダーマン』シリーズのキルステン・ダンスト、テレビドラマ「トゥルーブラッド」のアレキサンダー・スカルスガルド、そして映画『アンチクライスト』のシャルロット・ゲンズブールがインタビューで語った。
キルステン・ダンスト出演映画『スパイダーマン3』写真ギャラリー
同作は、姉クレア(シャルロット・ゲンズブール)と彼女の夫ジョン(キーファー・サザーランド)が住む邸宅で結婚パーティーを行うことになったジャスティン(キルスティン・ダンスト)は、新郎となるマイケル(アレキサンダー・スカルスガルド)とともに家族や親戚たちに祝福されるが、突如地球に接近してきた巨大な惑星メランコリアがもたらす人類滅亡の危機の中で、ジャスティンは徐々に不思議な感覚に支配されていくというSFドラマ作品。監督は、今年のカンヌ国際映画祭でヒトラーを支持するコメントで物議を醸したラース・フォン・トリアー監督がメガホンを取っている。
個性的なラース・フォン・トリアー監督から、どのような出演アプローチを受けたのかについて、キルステンは「(エージェントから)E-mailで、ラース・フォン・トリアー監督が明日あなたと話したがっていて、この映画の脚本に目を通すようにと伝えてくれたの。彼とはSkypeを通して話したわ。実は、この映画は最初にペネロペ・クルスが主演する予定だったけれど、彼女が降板したことで、彼の友人である二人の映画監督が、この映画の出演をわたしに勧めてくれていたの。だからある程度はこの映画の製作について聞いていたけれど、彼とのSkypeでの会話は、ほとんど脚本のことを話さずにシャーロット・ランプリングが主演した映画『愛の嵐』について話していたわね(笑)」と述べた後、さらに出演理由については「(この映画が)どのような方向性になろうとも面白いものになると思っていたの。それに、いつも挑戦することが好きだから」と答えた。(ちなみにシャーロット・ランプリングは、この映画ではキルステン演じるジャスティンの母親役を演じている)
ラース・フォン・トリアー監督作品の常連である名優ステラン・スカルスガルドを父に持つアレキサンダーは、父親からアドバイスを受けたのだろうか。「以前に父から、もしラース監督と仕事をする機会があれば、ぜひやるように!と言われていたんだ。(父親との)共演はすべて良かったよ。父と仕事をしたり、共に時間を過ごすのは好きだね。実際に脚本を読まずに決めたは、この作品が初めてなんだ! それに、この映画はスウェーデンで撮影されたから、週末にはストックホルムに住む母親や親戚に会ったりもしていたんだ。今回は、素晴らしいキャスト陣や監督に恵まれたと思っているよ」と話したアレキサンダーは、父親に劣らぬ存在感をこの映画で示している。
今年のカンヌ国際映画祭で、ラース・フォン・トリアー監督がヒトラーを支持するコメントで物議を醸したことについてキルステンは「わたしはまず、あの記者会見の映像が載せられたYouTubeを見て、自分の顔の表情を確認した後、崩壊していく友人(ラース監督)を見ていたわ。もちろん、彼の不適切な発言は明らかだけれど、(異常なまでのバッシングに)かわいそうにも思えたわ。ただ、彼(の発言)に困惑もさせられたわね」とキルステンが語った後に、アレキサンダーが「あの事件がこの映画の少し妨げになったが、最終的にキルステンのカンヌ国際映画祭女優賞が、もとの評判に戻してくれた気がするよ」とフォローした。
最後に、映画『アンチクライスト』でもラース・フォン・トリアー監督と仕事をしたシャルロットは「前作は小さなクルーで、すごく親近感がわく撮影だったの、あのときはラース監督が精神的な問題で苦悩していて、セットを離れるときもあったけれど、今回は全く別の環境で、彼も幸福を感じていると言っていたわ」と満足のいく環境だったようで、そのせいか、シャルロットはラース監督が手掛ける予定の3部作の次回作にも出演することを明かした。映画は、冒頭で詩的映像が含まれるものの、これまでのラース・フォン・トリアー監督の作品の中でも、ストレートなストーリー構成になっている。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)