観客賞はフランス・ベルギー映画『ガザを飛ぶブタ』に!長編デビュー作での快挙!
第24回東京国際映画祭
30日、TOHOシネマズ六本木ヒルズにて第24回東京国際映画祭観客賞授賞式が行われ、シルヴァン・エスティバル監督の『ガザを飛ぶブタ』が観客賞を受賞した。授賞式にはエスティバル監督と女優のミリアム・テカイアが出席し、涙ながらに喜びを表現していた。
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本作のエスティバル監督と女優のミリアム・テカイヤが登壇すると、会場を埋め尽くした観客からは大きな拍手が。長編監督デビュー作で受賞という快挙を成し遂げたエスティバル監督は、開口一番「コンニチハ。アリガト」と日本語であいさつ。受賞については、「初めての日本で、初めての映画が初めての映画祭に出品され、それが初めての受賞になるとは本当に光栄です。これ以上の賞はないと思っているので、本当にうれしいです」といまだ信じられない様子。同作はイスラム文化をテーマにしているため観客に受け入れられるかという不安もあったというが、「この映画は日本からはすごく遠い場所で撮影されました。だから、ここ日本でこんなにも支持を受けたことは、この作品が普遍的な映画であると認められたようで、とても喜ばしいことです」と今回の受賞に力づけられたことを明かしていた。
また、同作に出演しているミリアムは登壇するなり目に涙を浮かべており、「アリガト」とコメントする声もうわずり気味。「日本に来るというのは夢でしたが、このような形で来るとは思いませんでした」と語る言葉こそ少なかったものの、喜んでいることは誰の目にも明らかであり、コメント途中では涙を流す場面も見られた。
前回までとは異なり、今回は授賞式の後に一般客を対象にした上映が行われることになった観客賞。そのため授賞式も、これから作品を観る一般客を前に行われた。それだけに、これから作品を観る観客は、期待のまなざしで監督たちがトロフィーを受け取る様子を見守るなど、終始、授賞式は温かなムードで執り行われていた。
『ガザを飛ぶブタ』は、2007年の本映画祭グランプリを受賞したイスラエル映画『迷子の警察音楽隊』で、印象的な演技を見せたサッソン・ガーベイ主演の社会派コメディー。イスラムで不浄なものと見なされている豚を釣り上げてしまったパレスチナ人漁師のパニックぶりが楽しい作品に仕上がっている。シルヴァン・エスティバルは本作が長編映画監督デビュー作であり、本映画祭がインターナショナル・プレミア上映となった。
今月22日の開幕以来、多くの上映・イベントが行われた同映画祭も本日が最終日。この後は東京サクラグランプリをはじめとする各賞が発表されるクロージング・セレモニーのほか、公式クロージング作品『マネーボール』ゲスト舞台あいさつ、受賞者記者会見が行われる予定となっている。(編集部・福田麗)