蒼井優、福島で被災した「フラガール」たちへの想いを語る
映画『がんばっぺ フラガール! ~フクシマに生きる。彼女たちのいま~』で、ナレーションを務めた蒼井優が、自らが主役を演じた映画『フラガール』の舞台となった、福島、スパリゾートハワイアンズへの思いを語った。
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いつもは天真らんまんにインタビューに答える蒼井から、この日は一言も言葉が出なかった。3月11日を思い出すと、胸が詰まる。東北地方を襲った東日本大震災、津波と原発事故により、多くのひとびとが被災した福島は、2006年に公開され、数々の映画賞を受賞した、映画『フラガール』の舞台。蒼井にとっては、思い出の場所だった。「福島は、わたしにとって第二のふるさとなんです。テレビやインターネットで目にするいわき市の姿に目を疑いました。なんていうことが起きてしまったんだろう。あまりに多くの人が傷ついている現実に、ただ立ち尽くすしかなくて。震災直後は、どうすれば、どうすれば……。一体どうすれば……、その言葉しか出ませんでした」と、蒼井は当時を振り返る。
本作のナレーションを務めた蒼井は、震災直後、凄まじい被害を受けたハワイアンズ、そしていわき市の姿に、ふたたび言葉を失ったという。「ショックでした。あの映像を、スパリゾートハワイアンズの目線で見ると、本当にやりきれない光景でした」、悲しみにくれる蒼井を元気付けたのは、かつて演じたフラガールたちの姿だった。「みんな、すごくたくましくて。自分たちも被災しているのに、明るい笑顔で、全国を回って逆にみんなを元気にする。それぞれが、いろんな傷を隠しながら、笑って踊る。映画『フラガール』は、炭鉱の町の娘たちが、仕事を失った家族を救うために、町を救うためにフラダンスを踊りました。つらくても、涙を隠して踊り続ける彼女たちを見て、自分たちが映画『フラガール』の役を通して体験したこととまったく同じことが起きているんだなって思いました」と、話す。
本作の冒頭、「東京にいると、震災が遠くで起きているかのように感じます」という蒼井のナレーションが入るが、蒼井は、そのセリフが、一番辛かった、という。「やりきれなかったし、言いたくないセリフでした。本当に、東京にいて仕事をしていると、どうしたらいいか分からなくなる瞬間があるんです。福島もそうですが、被災地で復興に向けて頑張っている方々の努力を無駄にしないように、みんなで助け合って行きたいと思うんです」。
「みんながみんな、痛みを分かち合おうとする。そんな努力ができる人間になりたい」と話した蒼井は、「この映画は10月1日まで撮影されていた映画です。多くの方に観ていただいて、被災地の方々の現状を観てもらいたいです」と訴える。フラガールたちを思う、蒼井の強い気持ちは、映画を通してきっとたくさんのひとびとに伝わっていくはずだ。(編集部:森田真帆)