大森南朋、25歳監督のビッグマウスに触発され、思わずヒップホップでワイルドに!?
25日、現在開催中の第12回東京フィルメックスで特別招待作品『東京プレイボーイクラブ』上映が行われ、上映前に大森南朋、淵上泰史、臼田あさ美、そして奥田庸介監督による舞台あいさつ、さらに上映後には臼田以外のメンバーによるティーチインが行われ、そこで奥田監督のビッグマウスに触発された大森が、思わずワイルドな(!?)コメントを披露する一幕などがあった。
23歳のときに『青春墓場~明日と一緒に歩くのだ~』で、2010年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭のオフシアター・コンペティション部門でグランプリを獲得。香港映画界の巨匠ジョニー・トー監督にその才能を見初められ、24歳のときに撮影した本作で商業映画デビュー。次世代を担う監督として将来を期待されている奥田監督も、現在は誕生日を迎え25歳に。これまでゆうばりやプチョン国際ファンタスティック映画祭などでも、上から目線のビッグマウスで観客を沸かせてきたが、この日も挑発的に「俺はまだ25だから、まだまだのびしろだらけだから。これからも精進して、いい作品をお見せできるようにがんばります」と奥田節は健在。この日の大森は、そんな奥田監督の保護者のような立場で「上から言うなよ」「マイクの持ち方がヒップホップだから」とツッコミを入れていたが、最後には「俺はまだ40歳だからぁ……」と奥田監督の物まねをワイルドに披露……、したものの、やはり照れくさそうな表情となってしまった大森の姿に、会場は笑いに包まれた。
エレファントカシマシが2004年に発表したアルバム「扉」の最後を締めくくる強烈な戦いの歌「パワー・イン・ザ・ワールド」にインスパイアされたというだけあり、大森が「最近テレビでやたらといい人をやっていますけど、これはいい人ではありません。僕はなかなか暴れる人の役は少ないので、正直楽しかった」というほどに、本作の出演者のブチ切れ具合は特筆モノ。撮影は赤羽の飲み屋街で行われたとのことで、現場では酔ったサラリーマンが「ここに寝ているだけでいいから、俺を映画に出してくれよ」とからんできたことも。監督は、「監督だから責任があるんだけど、俺、バカだからからまれるとカーッとなっちゃって。現場が滞っちゃって。俺のせいでラインプロデューサーの方が首を締められました」と振り返ると、淵上も「監督、殴るなよと思いながらハラハラしつつも、そういうのを観ていると、テンションがあがりましたね」とコメント。映画同様、壮絶な現場だったことがうかがえるが、そのテンションの高いユーモアとバイオレンスこそが本作の魅力にもなっている。
本作は、行き場をなくした者たちが集う場末のサロン「東京プレイボーイクラブ」を舞台に、そこへ流れ着いた男が、地元のチンピラ3人衆とケンカをしたことで、大きなトラブルに巻き込まれる様子を描きだした異色バイオレンス。(取材・文:壬生智裕)
映画『東京プレイボーイクラブ』は2012年2月4日よりユーロスペース、シネマート新宿ほか全国公開