フセインの息子の影武者として4年を生きたラティフ・ヤヒア、亡命後に受けたCIAからの壮絶な拷問を激白!
元イラク大統領サダム・フセインの息子ウダイの知られざる素顔と狂気を描いた映画『デビルズ・ダブル -ある影武者の物語-』の原作者で、顔が似ていることから、4年ものあいだ、ウダイの影武者として生きたラティフ・ヤヒア氏が、当時の恐怖、そして亡命後に彼を襲ったアメリカCIAの拉致、という衝撃の事実を語った。
実の父親であるサダムまでもが、「生まれたときに殺すべきだった」と恐れたという、長男のウダイ。ラティフ氏は、彼とともに過ごした4年間を「地獄のような……ではない、まさに地獄の日々だった」と振り返る。いたいけな少女を拉致し、強姦し、罪のない人々をその日の気分で拷問し、殺りくする。目の前で繰り広げられた悪夢はいまだ脳裏から離れず、亡命後20年経った今も不眠症に悩み続けている。
イラクの人々に大きな恐怖を与え続けたウダイは、2003年7月22日、米軍との戦闘により殺害された。「アメリカは、なぜ殺してしまったのか。わたしは彼を生きたまま捕らえ、長い時間をかけて償わせたかった。アメリカのやることは、どれもこれも間違っている」とラティフはアメリカへの怒りを露わにした。
アメリカへの憎しみは、誰よりも強い。ラティフの亡命を手助けしたCIAは、彼にアメリカのスパイとなるよう願い出た。だが、ラティフはこれを断固拒否。「これまでずっとウダイの言いなりになって生きてきたのだから、残りの人生は自由に生きたい」そんな彼の希望は一切受け入れられず、彼はCIAに拘束され、拷問を受けた。「半年のあいだに、体重は半分に減っていました。救世主の面をかぶった悪魔。それがアメリカなんです。地獄からの出口は、あまりにも遠かったんです」
つい最近、彼はイラクで、爆死した市民の死体と笑顔でピースサインをする若き米兵の写真を自分のブログに掲載した。「わたしは、世界の人たちにこの終わることのない狂気を見せたい。ウダイが死んでも、アメリカという狂気が、わたしの祖国を支配しているんです」。本作は、ラティフの希望通り、アメリカのスタッフ・キャストは一切使わないという条件下で作られたという。ラティフは、「イラクでは、いまだに多くの人が苦しんでいることを、日本の皆さんにも知ってもらいたい」と、訴えた。
本作は、サダム・フセインの長男ウダイに顔が似ていることから、家族の命と引き換えに強制的に影武者を引きうけることになったラティフの絶望と怒りの日々を描く。ウダイと影武者ラティフを、映画『マンマ・ミーア!』で注目を集めたドミニク・クーパーが一人二役で熱演している。(編集部:森田真帆)(編集部:森田真帆)