「いまの福島を見て!」震災後初の福島全県ロケを行った映画『トテチータ・チキチータ』が伝える力強いメッセージ!
東日本大震災からちょうど1年がたった11日、震災後の福島県を舞台にした映画『トテチータ・チキチータ』のプレミア試写会が、スペースFS汐留で行われ、豊原功補、松原智恵子、寿理菜、葉山奨之、古勝敦監督、古勝たつ子・古川雅裕プロデューサーが登壇。福島から東京へ避難してきている方々も招待された本イベントで、作品に込めた熱い思いを語った。
「映画が町を興す」。震災後初となる福島全県ロケを行った本作。ロケ地では地元の人々がエキストラで登場したり、炊き出しを振る舞ってくれたりと福島県の多くの人に支えられて製作された。「地元の子どもたちや、近所の奥様たちが出演してくれましたが、みんな本当に元気で笑顔なんです」と松原が語ると、豊原も「(現地の)おいしいものもたくさんあって良い現場でした」としみじみ振り返る。
それを聞いていたプロデューサーの古川氏は「世界中から福島には住めないと言われていますが、この映画に映っている福島はいまの真実の姿です。みんな元気、誰も下を向いていない。ぜひ、いまの福島を多くの人に観てほしい」と強いまなざしでアピール。
もともと2008年に企画立案された福島を舞台にした本作は、昨年の震災により、その内容を大きく変更することとなる。「震災をベースにシナリオを書き直すために、現地で取材をしましたが、あまりにも起こっていることがすご過ぎて、どう咀嚼(そしゃく)して映画に生かすかということに悩んで、悩んで仕上げた作品です」と古勝監督は苦悩を明かした。
「いまの福島を見てほしい」という作り手の強い思いで誕生した本作。「震災から1年。原発問題など、まだ解決されていない事柄はたくさんあります。でも、少しでも新しい明日に向かって進めるような希望を感じてもらえたら……」と語った豊原の言葉に、会場からは大きな拍手が巻き起こった。
本作は、人生に絶望した男が、不思議な少女に導かれ、前世で家族だった人々と出会うことによって、家族の絆の大切さや、再び生きる希望を見つける姿を描いたヒューマン・ファンタジーだ。(磯部正和)
映画『トテチータ・チキチータ』はフォーラム福島、ポレポレいわき、会津東宝にて公開中。4月7日より銀座シネパトスほか全国順次公開