ハリウッドで最も注目の若手女優エリザベス・オルセンを直撃!脅威の長回し撮影の苦労について語る!
去年のサンダンス映画祭でセンセーショナルな話題を呼んだ映画『マーサ・マーシー・メイ・マリーン(原題) / Martha Marcy May Marlene』で主役を演じて、現在最もハリウッドで注目されている若手女優となったエリザベス・オルセンが、新作ホラー映画『サイレント・ハウス(原題) / Silent House』について語った。
同作は、父親とともに湖水の近くにある半ば廃墟と化した別荘にやってきた娘サラ(エリザベス・オルセン)は、突如何者かが邸宅内に侵入して父親が襲われてしまったため、サラは恐怖におびえながら脱出を図ろうとするが、徐々に侵入者は彼女の精神をむしばんでいくというホラー作品。1940年代に実際に起きた事件を基に、ウルグアイ出身のグスタヴォ・ヘルナンデス監督が製作したオリジナル作品を、今回はアメリカ版としてリメイクした作品。監督は映画『オープン・ウォーター』のクリス・ケンティス&ローラ・ラウ夫妻がメガホンを取っている。
出演経緯について「ちょうど『マーサ・マーシー・メイ・マーリーン(原題)』の撮影をしていたときに正式に主役をオファーされたの。『マーサ・マーシー・メイ・マーリーン(原題)』のスタッフが去年のカンヌ国際映画祭で、この映画のオリジナルであるウルグアイの作品『ラ・カサ・ムーダ(原題) / La Casa Muda』を観ていて、最初の1時間で最も怖い映画館での体験をしたことを話してくれていたの。わたし自身もホラー映画が好きで、(オリジナルの作品がワンショットで撮影されていたため)どうやって、この映画のストーリーを構成していくかにも興味があったわ。それに、素晴らしい挑戦にもなると思ったの。もっとも、わたしが想像していたよりも、実際の撮影は大変だったけれど……(笑)」と語った。
撮影中の苦労や演じやすかった点についての質問には「普段、たくさんのスタッフがいる中で、恐怖におびえる演技をするのとは違って、この映画では実際に撮影監督とブーム(音響マイク)を持った人しか暗がりにいなかったから、廃墟と化した家では恐怖を演じやすかったわ。けれど、ほとんどの撮影が長回しで、毎日何度も撮り直しをしていたの。だから、1日かけてワンショットの長回しを撮影していても、26テイクうち、実際には2テイクぐらいしか使えなかったわ。それに、午前中のテイクは技術的な問題(カメラのピンぼけや音響的な問題)ばかりが起きてテイクとして使えなかったから、最初のうちは100%ですべてのテイクを演じていたけれど、しばらくたってから、午後の撮影から6時間に集中して演技を100%にもっていったわ。ただ、自分が100%の演技をしたと思っても、技術的な問題で何度も撮り直していたのは辛かったわね……」と明かした。
監督兼脚本のローラ・ラウは、わずか60ページ分の脚本を執筆したらしいが、通常の脚本と比べて極端に少ないそんな脚本を、エリザベスに想像させるために、どのようなアプローチをエリザベスにしてきたのか。「実は、その60ページ分の脚本だけでも十分に理解しやすいものだったわ。それは、どのように撮影されるかもその脚本に記載されていたからなの。そして毎日撮影現場に行くと、まず最初にクリスがカメラを持って、ローラがわたしの役を演じて、どのようにこれから撮影するかをわたしと撮影監督の目の前で、実際にやってみせてくれていたの。それから、わたしと撮影監督で話し合いながら、(長回しの)タイミングやペース配分を決めていったわ」と答え、さらに暗がりばかりのシーンで、ろくな照明がなかったために、エリザベスは白い布を手に隠し持って、それを懐中電灯にあてて光を反射させていたときもあったことを付け加えた。
最後に、エリザベスはロシアの舞台で学んだ体験についても語ってくれた。これからロバート・デ・ニーロと共演した映画『レッド・ライツ(原題) / Red Lights』や、グレン・クロースと共演する映画『テレーズ・ラカン(原題) / Therese Raquin』が控えていて、今後ますます期待されること間違いなしだ。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)