小橋賢児初監督作、自由人高橋歩への出演交渉はお酒の席の冗談交じりの会話から
3日、中央区にある晴海客船ターミナルにて、小橋賢児が初監督を務めたアメリカ大陸4200キロ10日間の旅のドキュメンタリー映画『DON'T STOP! ドント・ストップ!』の公開を記念した特別トークイベントが行われ、映画に出演している高橋歩と、監督の小橋賢児が登壇し、お酒の席の冗談交じりの会話から発展して実現したという映画誕生秘話などを、旅の思い出話を絡めて語った。
映画『DON'T STOP! ドント・ストップ!』は北海道で暮らし、アメリカ文化に憧れを抱く元暴走族の不良オヤジCAPと、作家で自由人の高橋歩がひょんなことから出会い、互いに惹かれあって、アメリカ大陸を旅するさまを描いたドキュメンタリー映画。最初から映画化する予定だったわけではなく、高橋の何気ない一言が映画化につながって実現したという。
小橋は登場すると、冒頭で、「大人は夢の理由を聞きたがりますが夢に理由はありませんという高橋さんの言葉が響きました」とコメント。役者休業中にひょんなことから高橋と出会い、ハワイでの高橋のトークライブに遊びに行き、「イベントが終わって飲み会で、高橋さんが車椅子の不良オヤジとアメリカへ旅するという壮大な話をして、それを聞いて本当に脳がスパークしました。その場で衝動的に映画を撮らしてくださいとお願いしたんです。真剣にスイッチが入りました」とコメント。
高橋のほうは飲み会の翌朝、「昨日の話、本当?」と聞き返すなど、最初は小橋が本気かどうかわからなかったそうだが、話が現実味を帯びてきて、協力を決めたあと、CAPに話を持ちかけた。だが、不良オヤジで今は車椅子生活中のCAPが、旅にカメラが入ることを許可してくれるかどうかはとても心配だったという。そんな高橋にCAPはロックスピリットあふれるコメントで「OK、OK、アイアムヒーロー!」とのりのりで承諾してくれたそうだ。
撮影が始まると、「この、旅いい感じになったらぶっ壊してやりてぇ」と呟いたという高橋。旅はCAPの知人らも含め男女11人で実現し、カメラは旅の邪魔をしないという条件で入った。「ハプニング続きになった旅が逆に、当初思っていた以上に映画を魅力的にした」と小橋。高橋とともに、CAPの魅力的な人間像や旅の思い出を語り、最後に「直感を信じて映画を作った。あきらめずにやればできるんだということがわかった」とコメント。会場は大きな拍手に包まれた。(取材・文 名鹿祥史)
映画『DON'T STOP! ドント・ストップ!』は9月8日より新宿武蔵野館ほか全国公開