AKB48もビックリ!? おじいちゃんの総選挙映画に注目!
AKB48総選挙の話題が世間を騒がせたが、うら若き乙女たちのガチンコ勝負とはまた一味違った、おじいちゃん(OJC)の総選挙を描いた注目の映画がある。おじいちゃんの総選挙とは、ローマ法王の死去後、次の法王を決めるための選挙(コンクラーヴェ)のこと。80歳以下の枢機卿たちがヴァチカンの投票会場に集まり、多数決で法王を決めるのだが、枢機卿ともなると、年配の男性が多いので、まさにおじいちゃんの総選挙と言っても過言ではない。
そんなおじいちゃんたちによる選挙を描いた映画『ローマ法王の休日』とは、ローマ法王が亡くなり、次期ローマ法王に各国の枢機卿の中から一人のおじいちゃんが選ばれるところから始まる。AKB48の総選挙では、誰もが1位を目指すが、ローマ法王という地位は全世界に11億人以上といわれるカトリック教徒のトップになるということで、責任とプレッシャーは計り知れない。今期総選挙で1位を獲得した大島優子は、強い決意で「AKB48を全力でやらせていただきます!」と宣言したが、本作で1位指名を受けた主人公メルヴィルは、そのプレッシャーに耐え切れず、新法王就任のスピーチを前に逃げ出してしまう。
法王がまさかの逃亡! という衝撃の事態となるが、逃亡したメルヴィルはローマの街で、セラピストやデパートの店員、パン職人、ストリートミュージシャン、舞台俳優など、さまざまな人々との交流を通して、自らの信仰心や法王の存在意義を見つめ直し、新しい一歩を踏み出す決心をする。主人公のメルヴィルを、フランスの名優ミシェル・ピッコリがコミカルかつ哀感を漂わせる圧巻の演技で魅せる。
本作は、映画『息子の部屋』でパルムドールを受賞したナンニ・モレッティ監督が、法王を人として描き、聖域に踏み込んだ愛すべきヒューマンドラマ。新法王に選ばれた枢機卿の苦悩をコメディータッチで描く。AKB48の総選挙にも数々の感動的なドラマがあったが、こちらのおじいちゃん選挙も思いも寄らないヒューマンドラマとなっている。(文・福住佐知子)
映画『ローマ法王の休日』は7月21日よりTOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開