井口昇監督、山口雄大監督が今勢いのあるフレンチホラーについて言及!! 日仏の撮影スタイルの違いとは!?
24日、アップルストア銀座で「20th アニバーサリーフランス映画祭」協賛イベント「フランス映画の現在を語ろう:フレンチホラー」が行われ、同映画祭の上映作品である『リヴィッド』のジュリアン・モーリー監督が来場、ゲストの井口昇監督、山口雄大監督と共に、日仏のホラー映画の現状について語りあった。
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『マーターズ』『ハイテンション』など、リミッターを振り切った容赦ない暴力描写で、近年、勢いがあるフレンチホラー。その現状を聞くためにゲストに登場したのは、アレクサンドル・バスティロ監督との共同監督作『屋敷女』で注目を集めたモーリー監督だ。『屋敷女』を観た女優のイザベル・アジャーニが新作に出演を熱望するなど、フレンチホラー界の注目監督である彼らの新作『リヴィッド』は、これまでの暴力路線からシフトチェンジ。幻想的で詩的な世界とヴァンパイアが引き起こす残酷描写がミックスされた新しいタイプのホラー作品となっている。
トークの中では、ホラー映画における「ホラー映画と少女」「子どものホラー映画出演におけるタブー」といった日仏ホラーの現状について言及。さらに話は映画製作の裏側にまで及んだ。現在、勢いのあるフレンチホラーではあるが、意外なことに本国フランスでは映画館に客が入らないため、ホラー映画の製作にこぎつけるのは困難を極め、さらに製作が確定したとしても、低予算を余儀なくされるのだとか。「普通のフランス映画は60日くらいかけて撮るのですが、『リヴィッド』は33日しか時間をかけられなかった」と残念そうな顔をするモーリー監督だが、「日本ではホラー映画は(製作本数は多いものの)10日くらいで撮影します」という井口監督の返答には目を真ん丸に。
「10日でいったいどうやって撮るんですか?」と逆質問するモーリー監督に井口監督は「スタッフさんに無理をさせる。寝ない。早口でしゃべる」と返答。さらに「芝居を固める時間がないので、テストはやらずにいきなり本番で撮影しますね」と付け加える山口監督は「きっとフランスでは、人様に見せるクオリティの映画を作るなら30日くらいは必要だろうという考えなんでしょうね。フランスではホラー映画の製作本数自体は少なくても、その分、一本一本の制作環境はいいんでしょうね。日本ではフレンチホラーのように美しい画面を作る時間は限られてくるんで、うらやましい」とコメント。
そしてトークはこれからさらに佳境へはいろうというところで、残念がら時間切れ。「まだまだあと何時間でもしゃべれますよ」と名残り惜しそうな3人であった。(取材・文:壬生智裕)
映画『リヴィッド』は9月8日よりシアターN渋谷ほかにて全国順次公開