ひょんなことから『アベンジャーズ』の編集作業に参加 『アイアンマン3』の編集にも参加する予定に
今年の夏、最も成功を収めた大作『アベンジャーズ』の編集を担当したジェフリー・フォードと、彼のアシスタント、キラン・パレガッダが、ハリウッドの編集者が集うEditfestに参加し、同作の編集について語った。
同作は、未知の敵が地球に襲来し、人々を恐怖に陥れる。そこで、特殊諜報機関「S.H.I.E.L.D シールド」は世界の平和を取り戻すために、史上最強のヒーロー軍団を組織させ、敵と対決させることを決断する。「アイアンマン」をロバート・ダウニー・Jr、「ハルク」をマーク・ラファロ、「ソー」をクリス・ヘムズワースなどが演じている超大作。
マーベル作品にかかわった経緯についてジェフリー・フォードは「マイケル・マン監督の映画『パブリック・エネミーズ』で、僕が尊敬する編集者ポール・ルベルとともに編集を担当したんだ。そのときは、ポールがリード編集者で、僕がセカンドだった。彼と僕はあの仕事を通して仲良くなった。彼は当時この映画と同じマーベル作品である映画『マイティ・ソー』の編集を担当していて、マーベルの関係者を僕に紹介してくれたんだ。そのときちょうど、これから『アベンジャーズ』を製作する予定で、僕はそのマーベルの関係者におそらくポールが編集をやるだろうから、僕も参加させてほしいと頼んだんだよ。ところが、ポールは参加せず、僕が編集することになったんだ(笑)」と明かした。
具体的に、編集のファースト・アシスタントの仕事とは?「僕らがやることは基本的に二つあって、まず一つはデイリー(即日仕上げの映像)の準備などを含め、編集者(今作の場合ジェフリー・フォード)が編集の際に何も心配しなくていいように、ただカットに集中できる環境を作ること。そして次に、この編集者のカットの仕方を見て、できるだけ多くのことを学ぶことだ。編集者のカットの仕方を学ばなければ、ファースト・アシスタントからその後、編集者になる機会を失うことになるんだ」と語ったキラン・パレガッダは、さらに「大作の場合は、僕のように編集者の下で働いているアシスタントが数人居るケースもある」と教えてくれた。
ジェス・ウェドン監督とのコラボについて「彼はまさにオタクの要素を持ち合わせた監督で、マーベルのコミックのキャラクターの歴史を知り尽くしているんだ。僕も子どもの頃から『スパイダーマン』のコミックが大好きだったし、その点からすぐに仲良くなれたよ。それに彼は、次から次へとストーリーのアイデアが出てくるため、もし現場でストーリーに納得いかない問題が生じても、その場で変更することもできていたらしい。彼は、監督だけでなく脚本家の才能も素晴らしいと思うよ。ただ編集の時の彼は、ストーリーやキャラクターを重要視していて、僕が編集するのをほとんど後ろで見ていることが多く、ごくたまに気がかりなところを僕と相談しながら変更していったんだ」とジェフリー・フォードが答えた。
今回、あの大作『アベンジャーズ』を新たな視点から見つめ直す興味深いイベントとなった。ジェフリー・フォードは、またマーベル作品である映画『アイアンマン3』の編集も行うことになっているため、今後も忙しくなるようだ。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)