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黒人青年が無抵抗のまま警官に射殺…衝撃の事件を映画化した新鋭監督が初来日

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初来日した新鋭ライアン・クーグラー監督
初来日した新鋭ライアン・クーグラー監督

 2013年のサンダンス映画祭で作品賞と観客賞をW受賞した映画『フルートベール駅で』のメガホンを取った新鋭ライアン・クーグラー監督が10日、初来日し、シネ・リーブル池袋で行われた同作のティーチイン試写会に出席した。クーグラー監督は「昨日、日本に着く予定だったけど、サンフランシスコは雪が降っていて、なかなかアメリカを出られなかった。残念ながらまだ観光はできてないけど、日本の電車は体験させてもらったよ」と上機嫌であいさつした。

映画『フルートベール駅で』場面写真

 同作は、2009年にサンフランシスコのフルートベール駅で、22歳の黒人青年が無抵抗のまま警察官に射殺された実際の事件を基に、彼の最後の一日を描いた社会派ドラマ。アメリカ公開当初はわずか7館での上映だったが、異例のヒットにより1,063館まで拡大公開された。

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 「事件の映像を見たときの悲しみや怒りが基になっているんだ」と映画化のきっかけを明かしたクーグラー監督。「周りには抗議運動をしている人たちもいたが、自分はアートである映画を通して、この事件を新たな見せ方で世に伝えよう思った」と身振り手振りを交えながら説明した。

 さらにクーグラー監督は「マスコミは外側からその人に近づくというスタイルだが、この映画では主人公の内側から外側へと目を向けていった。そう描くことで関わった人たちとの関係性から主人公の人柄が見えてくる」とスタイルの違いを強調。また、主人公のオスカーを描くにあたっては彼の身近な人たちに話を聞いたといい、「皆から見たオスカーは少しずつ違っていて、それが興味深かった」と懐かしそうに振り返った。

 この日のイベントでは、観客から「映画の中で白人も黒人も仲が良さそうに見えたが、雇用関係になるとその関係が変わってしまったりするのか」という質問も。これに対し、クーグラー監督は「リラックスした状態では出てこない感情が、何かうまくいかなくなったときに出てくることがある」と人種問題を分析していた。(取材・文/波江智)

映画『フルートベール駅で』は3月21日より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開

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