『ロード・オブ・ザ・リング』「一つの指輪」と日本文化の共通点とは?
映画『ロード・オブ・ザ・リング』および『ホビット』シリーズで物語の鍵を握る「一つの指輪」を制作したジュエリーメーカー「イェンズ・ハンセン」のハーフダン・ハンセンが、“世界一有名な指輪”の制作秘話を語った。「イェンズ・ハンセン」は、ニュージーランド・ネルソンにデンマーク出身のイェンズ・ハンセンが作り上げ、現在はイェンズの長男であるハーフダンが取り仕切っているジュエリーショップ&工房だ。
当時からネルソンでは名の知れた職人だったイェンズのもとに、ピーター・ジャクソン監督とアート部門のチームがやって来たのは1999年のことだった。「彼らが求めていたのは、混じり気のない形で、とても重くて厚い指輪でした」と振り返ったハーフダンは、初めはイェンズが「なぜ単なるシンプルな指輪を自分が作らなくてはいけないんだ」とその依頼を断ったと打ち明ける。
しかし、ハーフダンと彼の弟のトーキルは「絶対にやるべき」と父親を説得。制作を決意したイェンズはトーキルと共に異なるスタイルの指輪を15個作り、ジャクソン監督たちはその中から重さも輪郭もたっぷりしたものを最終的なデザインとして選び出したという。
ハーフダンは彼らが作り上げた「一つの指輪」について「そのデザインは僕に日本文化を思い起こさせます」と語る。「『Less is more(少ないほど、豊かである)』という部分が似ています。例えば、生け花もとてもシンプルですが、そこで生み出される美しさは、ごちゃごちゃと飾り立てた時よりも混じり気のないものです」とシンプルだからこその美しさがあるとコメント。
さらにそのクオリティーについても「僕たちが作った『一つの指輪』を見て『ただの指輪だ』と言う人もいますが、車で考えてみたらわかりやすいと思います。四輪とハンドルがあれば『車』ですが、『ヒュンダイ』と『レクサス』ではデザインやクオリティーが違いますよね」と自信をのぞかせている。現在公開中のシリーズ第2部『ホビット 竜に奪われた王国』では、第1部以上に「一つの指輪」が大きな存在感を放っている。日本文化と共通点があるという指輪の美しさにも注目したい。(編集部・市川遥)
映画『ホビット 竜に奪われた王国』は公開中