奇才ウェス・アンダーソンの魅力にイラストレーター石川三千花もゾッコン!
イラストレーターでエッセイストの石川三千花が7日、TOHOシネマズ日本橋で行われた映画『グランド・ブダペスト・ホテル』の無料上映会に、ジャーナリストの萩原麻理と共に出席し、同作の魅力を語り尽くした。
本作は『ムーンライズ・キングダム』の奇才ウェス・アンダーソン監督の最新作。第64回ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員賞)を受賞し、集大成にして最高傑作ともいわれる本作を、日本のファンにもいち早く観てもらいたいというアンダーソン監督の思いから、この日は「無料上映会」を実施。配布開始後、たった5分でチケットがなくなるなど、注目度も高かったようだ。
この日の上映も含めて、本作を3回観たという石川は、「3回目なのに全く飽きない。観るシーン全てがオシャレで、どんどん好きになる」とゾッコンの様子。「小道具やファッション、美術に対するあのセンス、こだわりはすごい。わたしはティム・バートン監督も好きだけど、彼はどちらかというとアートの方向にこだわりを見せている人。でもウェスはわたしたちと同じ視点で、ファッション雑誌を見ているような感覚で画面を見せてくれる」と語る。
さらに「あれだけ細部にこだわると、周りのスタッフがウェスのビジョンを再現するのも大変だよね」と笑顔を見せた石川は、アンダーソン監督の作り出す映像にも関心が及んでいるようで、「画面の構図がセンターで左右対称になっているのね。それから今回、気付いたんだけど、(劇中で描かれる)時代に合わせてスクリーンの比率が(ビスタサイズやスタンダードサイズに)変わるの。ものすごくこだわっているよね」と指摘。
また荻原の「消えていく世界に対するノスタルジーが感じられる。しっとりと寂しい感じがあるね」という言葉通り、アンダーソン監督が本作で、古き良きヨーロッパをノスタルジックな視点で描き出した点にもすっかり感心したという二人。石川が「何回、見直しても味わえる映画」と語るなど、その後も話は尽きない様子だった。(取材・文:壬生智裕)
映画『グランド・ブダペスト・ホテル』は6月6日より全国公開