「るろうに剣心」和月伸宏、映画では“幻のクライマックス”が実現!
この夏に連続公開される映画『るろうに剣心 京都大火編』『るろうに剣心 伝説の最期編』の原作者・和月伸宏が、実写化をはじめとするメディアミックスへの思いを語った。原作が完結してから15年。まだ広がり続ける「るろ剣」ワールドに「実写化を嫌ったり、アニメになるのも嫌だという人もいますが、もっと肯定的に見てくれると面白いんじゃないかなと。それは実写映画で痛感しました。多くの人に知ってもらえることは、作品のためになると思うんです」と力説した。
興行収入30億円を超えた前作『るろうに剣心』公開後の反響について「普段は漫画の世界にいるので『漫画が全て』みたいなところがあったんですが、実写の力というのはすごい、それを飛び越えたところにあるんだなと思いました。どっちが上か下かというわけではなく、実写の世界というのは大きいのだなと改めて意識しました」という和月。そうした結果を出した製作陣への信頼も厚く、前作では脚本段階から製作に関わっていたが、続編ではほぼノータッチだったという。(数字は配給調べ)
「結果を出した製作陣は信頼しないといけないと思うんです。自分も漫画家という人気稼業なので、結果を出したときに評価されないのは嫌だと思うんですよ。これは映画に限らず、アニメでもそうです」と持論を展開。そのため脚本に対しては原作側からの意見・アドバイスを伝えるだけにとどめたというが、製作陣は和月があえて表に出さなかった思いをくみ取った脚本に仕上げてきた。
「軽い打ち合わせした時、『(原作では)“煉獄”(巨大戦艦)を出したけれど、結果的に描き切れなかった。“煉獄”の中で戦って、クライマックスにしたかったなあ……』と言ったら、それが脚本になっていたんです」と“幻のクライマックス”ともいえる展開に感激したことを明かし、また和月自身も“煉獄”のセットを訪れたとのこと。「現存する古い戦艦にロケーションに行ったそうで『ああ、いいなあ』と。戦艦の狭さと同時に、立体感がある。その辺りがしっかり作ってありましたね」と絶賛した。
実写版『るろうに剣心』は今回の『京都大火編』『伝説の最期編』で完結を迎える。和月にとって、実写版はどういった存在だったのだろうか。「広い世界に自分の作品を置いてもらったという感じです。自分は漫画の世界にいて、漫画は最高だと思っていて、だから漫画を描いている。今でも変ですけど、漫画の世界で生きている。でも、実写でやらせていただいたことで『るろうに剣心』がより多くの人に知られるのはいいことじゃないかな、と」と明かした和月は、「結局、作品というのは閉じてしまったら終わるんです。もちろん原作で閉じていれば、きれいな思い出のままファンの中で結晶化するかもしれないですが、より広がることで、自分の好きなものがより多くの人に愛される喜びというのもあると思うんです」とその思いの丈を吐露した。(編集部・福田麗)
映画『るろうに剣心 京都大火編』は8月1日より、『るろうに剣心 伝説の最期編』は9月13日より、丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国公開