ザ・アメリカンヒーロー、スーパーマンの歴史を振り返る!
アメコミのヒーローが映画界に乱立している昨今だが、世界的に最も知られているヒーローといえばやはりスーパーマンだろう。WOWOWでのシリーズ一挙放送を機に、全6作品を振り返ってみたい。
スーパーマンがシリーズとして確立されたのは、クリストファー・リーヴ主演の第1作『スーパーマン』のメガヒットがあってこそ。当時、『スター・ウォーズ』が呼び起こしたSFブームの流れの中で製作された同作では、腕力も動きの速度も優れている上に、空を飛ぶこともできるスーパーマン像がヒロイックであるだけでなく、愛する女性ロイス・レインを抱いて宙を舞うシーンに代表されるロマンチックな魅力もあり、SFファンを超えた広い観客にアピールされた。好評を博したリーヴ版のシリーズはこの後4編が製作され、1983年の『スーパーマン III/電子の要塞』ではコメディー色を配し、1987年の『スーパーマン4/最強の敵』ではスカイアクションに重きを置いて新味を出そうとした。が、鮮度を保つことができず、リーヴ版はここで終了する。
過去の名作となりつつあったスーパーマンがスクリーンによみがえったのは2006年。アメコミ映画ブームに乗って登場した『スーパーマン リターンズ』はキャストこそ一新されたが、話的には『スーパーマン II/冒険篇』の別パターンの続編。主人公の純粋さにスポットを当てたドラマは原点回帰として好評を呼んだものの、一方では新味がないという批判もあり、賛否両論が巻き起こった。
そして記憶に新しい昨年のヒット作『マン・オブ・スティール』が登場する。『ダークナイト』3部作のヒットによって生まれた、アメコミをリアルに描く流れを踏まえ、ここではスーパーマンの生い立ちを一から洗い直し、クリプトン星で生まれ人間として育ったスーパーマンことクラーク・ケントの成長を検証。彼の自分探しの苦悩を掘り下げたドラマは、やはり賛否両論があったが、前作をはるかに上回る全米興行成績を挙げたことで、成功と呼べる成果を上げている。
2016年にはDCコミックスが誇る二大ヒーローであるバットマンと競演する続編の製作も決定。この話題の新作を観る前に、時代を反映して進化を続けてきたシリーズをおさらいしてみるのも面白いだろう。(文・相馬学)
映画『スーパーマン』は7月12日午前9:00よりWOWOWシネマにて放送