サッカーで逆転勝利したオランダから、超パワフルなおっさんスポ根ムービーが上陸中
先ごろFIFAワールドカップの対メキシコ戦で逆転勝利し、逆境を耐え抜く底力を感じさせたオランダ。そのオランダ魂がぎっしり詰まった、痛快スポ根ムービー『人生はマラソンだ!』が公開中だ。経営難の会社の命運がかかったマラソン大会に挑む4人の中年男たちの奮闘を描いた本作には、「おっさん」だからこそ伝えられる、ピンチを乗り越えるためのヒントがちりばめられている。
人生崖っぷちのおっさんたちがマラソンに奮闘する映画『人生はマラソンだ!』フォトギャラリー
物語は、自動車修理工場の従業員たちが税金の滞納で工場差し押さえの危機にひんしたことから、高級中古車ディーラーと、とある賭けをすることに始まる。その賭けとは、ロッテルダム・マラソンで42.195キロ完走すれば借金を肩代わりするが、完走できなければ工場を譲るというもの。酒とタバコ、甘いモノを摂り放題の不摂生な生活を送ってきたメタボ中年男たちは壮絶な肉体改造計画を行う羽目になるが、彼らには職場だけでなく、末期がん、妻の浮気、家庭の不和といった、これまた年を取れば取るほど痛い問題が次々と重くのしかかってくる。
そんなおっさんたちが、それぞれ抱えるのっぴきならない事情と向き合いつつ、時に挫折しながらも走り続けるしぶとさ、男だからこその団結力、友情が痛快だが、なぜ、彼らの姿には切実に胸に迫るものがあるのか……? それは、末期がんを宣告された工場主のキャラクターに集約されているように、「再出発」の困難さのレベルが格段に高いからであり、人生の「後がない」状況に立ち向かう真摯(しんし)さゆえだ。
日本でも、私設自警団を結成する3人の中年男の活躍を描いた人情ドラマ「三匹のおっさん」や、婚活、再就職、家族の崩壊といった深刻な問題を抱える男女のサバイバルを描いたオムニバスドラマ「55歳からのハローライフ」など、中高年を主人公にしたテレビドラマが好評なのは、団塊の世代が定年を迎え新たな道を模索している日本の世相において確実にニーズがあるからだといえる。『人生はマラソンだ!』でマラソンに挑むオヤジたちは決して爽やかとは言えないが、がむしゃらに「頑張る」姿には一度観たら忘れられない“陽”のオーラが感じられる。(編集部・石井百合子)
映画『人生はマラソンだ!』は全国公開中