『オーシャンズ11』組から最新作まで、マット・デイモンが名監督&俳優たちに愛されるワケ
マット・デイモンが製作、脚本、主演の3役を兼任して完成させた『プロミスト・ランド』は、この超売れっ子のハリウッド・スターの映画作りへの情熱と、監督や俳優といった同業者に愛されてやまない人柄を改めて証明する一作だ。
マット・デイモンの知的&繊細な魅力あふれる『プロミスト・ランド』フォトギャラリー
シェールガス採掘問題をめぐる田舎町の人間模様を描く本作は、デイモンと俳優ジョン・クラシンスキーのコラボレーションから始まった。「僕たちは最初からウマが合った」とクラシンスキーが語るように意気投合した二人は、多忙な俳優業の合間を縫って脚本作りに没頭。デイモンも「執筆作業はどんどん進んだ。ベン・アフレックとの共同作業を思い起こさせたよ。あのときとすごく似た感覚で、とても楽しかった」と振り返り、かつてアカデミー賞脚本賞に輝いた『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』の経験に重ね合わせる。
また本作は当初、デイモンが監督も務める予定だったが、ほかの出演作の都合により断念。旧知の名匠ガス・ヴァン・サントが二つ返事で代役を引き受け、企画の頓挫を救った経緯がある。「あるとき自分が乗った飛行機が離陸する前にガスに脚本を送った。数時間後に着陸したときには、彼から監督したいというメールが届いていたんだ」。そう回想するデイモンにうれしい驚きをもたらしたヴァン・サント監督は、「脚本を読み、過去にマットが書いた脚本との類似点に気付いた。ジョンとの共同作業がうまくいったのだと感じたよ。“イエス”と言うのに迷いはなかった」と語る。
『オーシャンズ11』シリーズの気心の知れたスティーヴン・ソダーバーグ、ジョージ・クルーニーをはじめ、ポール・グリーングラス、クリント・イーストウッド、コーエン兄弟といった名だたる巨匠や鬼才との仕事を経験してきたデイモンは、さまざまな役柄を柔軟にこなしてきた。しかも、このハリウッドでは希有な“色のついていない”スター俳優は、飾り気のない性格で、独自のポリシーを持ちながら協調性も備えている。もしもそう遠くない将来、デイモンの監督業進出が実現したら、数多くの才気あふれる映画人が協力を申し出るに違いない。(高橋諭治)
映画『プロミスト・ランド』は8月22日よりTOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館ほかにて全国公開