『トラック野郎』一番星号はじめデコトラ10台集結!鈴木則文監督しのぶ
今年5月に逝去した鈴木則文監督をしのび、映画『トラック野郎』シリーズの一番星号、やもめのジョナサン号など、派手な装飾を施した10台のデコトラが7日、石川県金沢市のしいのき迎賓館 石の広場に勢ぞろいした。
娯楽一筋の映画人生を歩んだ職人・鈴木監督のために企画された本イベントは、今月12日から開催予定の「カナザワ映画祭2014」のプレイベントとして実施。この日は、デコトラ団体・全国哥麿会の田島順市会長全面協力のもと、劇中に登場した一番星号、やもめのジョナサン号などのデコトラが、全国から会場に駆けつけた。
イベントには『トラック野郎』シリーズのシナリオと助監督を務めた澤井信一郎監督、無類の東映映画ファンとして知られる杉作J太郎、そして田島会長が出席。澤井監督は「映画に登場するデコトラは、その土地の人のトラック運転手さんに頼んで、普段の仕事の5分の1のギャラで出てもらったもの。それなのに、編集で切ってしまったこともあった。家族みんなで観に行ったのに、恥をかいたと言われたこともあって。いろんな人に迷惑をかけたな」と遠い目で当時を振り返った。
その後も、菅原文太ふんする星桃次郎の名前の由来、鈴木監督とシナリオハンティングで出掛けた青森の思い出、トラック野郎のおかみさんたちから桃次郎のホームグラウンドであるソープランドのシーンはどうにかならないかと相談されたことなど、興味深いエピソードの数々を披露した。
その後は満点の星空の下、金沢が舞台として登場するシリーズ第5弾『トラック野郎 度胸一番星』を屋外上映……となったが、あいにくの空模様。途中、ポツポツと雨が降ってきたものの、ほとんどの観客は帰ることもなくそのまま最後まで映画を鑑賞。金沢のシーンが登場すると、スクリーンに向けて拍手が起きるなど、それぞれが映画を楽しんでいたようだった。上映終了後は観客全員が起立して、夜空の鈴木監督に向けて「ありがとう!」と呼びかけた。
「カナザワ映画祭2014」は今月12日から15日まで石川県の金沢都ホテル セミナーホール(旧ロキシー劇場)で実施。今年のテーマは「爆音」で、『マッドマックス2』、ポール・ヴァーホーヴェン特集、デヴィッド・リンチ特集、スタンリー・キューブリック特集など映画ファン垂涎(すいぜん)もののラインナップがそろう。(取材・文:壬生智裕)