現役女子高生が映画監督デビュー!憧れは三谷幸喜!
札幌の映画制作ワークショップで学んだ中高校生たちが企画・出演・撮影・編集などを手掛けて完成させた長編映画『茜色クラリネット』の東京上映決定を記念し、メガホンを取った現役女子高生・坂本優乃監督が19日、都内でトークイベントを行い、撮影時の苦労や将来の夢について語った。
札幌のミニシアター、シアターキノを中心に始まり6年間続く「子ども映画制作ワークショップ」の集大成として企画され、ワークショップに中学1年生のときから参加している坂本が監督に抜てきされた本作。坂本監督は「最初に長編の監督をやってみないかとお話をいただいたときは、不安より『絶対やりたい』という気持ちが先だったんですが、即答せず、まず両親に相談しました」と高校生らしい笑顔を見せながら「親は、映画はわたしの趣味としか思っていなくて、こんなに取材が来ると思ってなかったようで、ビックリしています」と話す。
本作は、体は子供のまま、心だけ大人になって夢や希望を失ってしまう「大人病」がひそかに蔓延(まんえん)していることを知った中学3年生の茜と夏輝が、大人病の謎の解明と、事故に遭ったまま眠り続けている友人を救うため奔走する青春ファンタジー。舞台となった札幌市琴似地区の街並みや自然を取り込みながら、重層的なストーリーをみずみずしい感覚で映像化した。この日、鑑賞した映画評論家からも坂本監督に大きな拍手が送られていた。先日行われた第16回ソウル国際青少年映画祭の招待作品でもある。
「本当に初心者なので、ワークショップの(プロの)先生方にバックアップしていただきました。監督は決断するのが仕事。優柔不断なわたしはその決断が怖かったですが、この苦しさは乗り越えなきゃと思いました」と撮影の苦労を振り返る坂本監督。「主演の佐藤楓子さんの、画面が明るくなるような笑顔と目の力をぜひ観てください」と見どころを明かし、「三谷幸喜監督が大好きなので、将来はコメディーでお客さんの笑顔を見てみたい」と大きな夢を語った。(取材・岸田智)
映画『茜色クラリネット』は11月1日より渋谷ユーロスペースにて公開