藤竜也、共演者の死亡率に嘆き「今、男で生きているのは僕だけ」
先月25日から3日まで、川崎市・新百合ケ丘で開催されていた「KAWASAKIしんゆり映画祭2014」のスペシャル企画で、日活「野良猫ロック」シリーズ最終作にして70年代アクション映画の傑作『野良猫ロック 暴走集団'71』(藤田敏八監督)が上映され、出演俳優の藤竜也と、本作に参加し日活を支えた名スクリプター白鳥あかねの2人がトークショーを行った。
本映画祭代表も務める白鳥が「43年前。お互いに青春でした」とスタートさせると、当時の本作ポスターを見た藤は「(共演者が)ほとんど死んでいる。この死亡率はすごい。男で生きてるのは、僕だけ」と嘆きながら「主演の原田(芳雄)さんは、なぜかドテラ姿で、何でドテラなのって思っていました。この人はぶっ飛んだ発想の、頭のいい人なんだって尊敬しちゃいましたよ。安岡力也は信じられないくらいハンサムで、地井(武男)さんは、あの散歩番組(「ちい散歩」テレビ朝日)と若い頃からまったく一緒」と共演者の思い出話を披露した。
続いて、白鳥が「日活は不思議な会社だったわね。スターとスタッフの垣根がなくて、藤さんや(芦川)いづみちゃん(日活黄金期の女優で、藤の妻)といまも友達付き合いできるのは、日活のおかげ」と述懐すると、藤は「妻はぼくの出演作について、『ステキー』としかいいません。嘘でも何でもいいんです。それに支えられていますね」と話し、会場の歓声を浴びた。
「共演女優についても教えて」という会場の声に、藤は「(本作共演の)梶芽衣子さんは、あの目の強さは、他になかった。いま画面に出しても、40年前の女性でなく今の女性としてそのまま通用する。モダンだった。反対に二階堂ふみさん(『私の男』2014年)は、座っているときは小さな普通の女の子なんだけど、芝居になるとすごく強いものが出てくる。セリフがなくても饒舌に映る。ああいう人っているんですね」と話していた。
藤が「この歳(73歳)になると、来年の春に桜が見られたらいいって思うだけ。映画って作ってから上映までタイムラグがあるから、来年公開と言われて“オイオイ、オレは観られるのか”って思う。長生きすると人生は喜劇的になりますよね」と白鳥に同意を求めたが、「わたしの顔を見て言わないで」と笑いながら答えた白鳥。1932年生まれの白鳥は、1955年に日活入社後、今村昌平監督らのスクリプターとして約50年間、映画製作に携わった。2014年、その功績で第37回日本アカデミー賞協会特別賞を受賞。また当時の現場を振り返った著作『スクリプターはストリッパーではありません』も今年出版された。 (取材:岸田智)