高良健吾の痩せ方に石田ゆり子が心配
天童荒太の直木賞受賞作を映画化した『悼む人』で初共演を果たした高良健吾と石田ゆり子が、撮影を振り返りながらお互いの印象と本質について語った。
不慮の死を遂げた人々を悼むために全国を放浪し、他人から偽善者ではないかと疑われる青年・静人を演じた高良は、「静人として映画の中にどうあるべきかが難しかった。悼むという行為をするときに自分の気持ちをむき出しにすると、静人が嫌な人間に思われかねない。どうしたらいやらしく見えないか、ずっと思案していました」と心中を明かす。
一方、夫をあやめてしまった過去を持ち、静人と一緒に旅をするヒロインの倖世にふんした石田も、「倖世は何かあったら死んでしまいそうな女性。そのギリギリな感覚が難しくて、撮影以外でも鬱(うつ)とした気持ちでいました」と告白。さらに彼女が、「高良くんも静人に成りきっていたようで、全然食べないから撮影中にすごく痩せちゃって……」と高良のストイックな姿勢に言及すると、高良は「静人を演じていたときのことを思い出すと、憂鬱(ゆううつ)な気分になる。楽しいというものではないです」と本音をさらけ出した。
また、高良が石田の素顔について、「すごく品のある少女みたいな方」と語ると、石田は「そんな、わたしはきっと子供なんです。高良くんのほうが精神的に大人なんですよ。少年の顔と大人の部分が同居していて、そこがステキなんです」と高良の魅力を述べる。すると高良は、「僕は自分がおじいちゃんだと思う瞬間があるんです(笑)。でも、すごく子供だなって思うところもある。真ん中はないです」と自分を冷静に分析していた。
最後に二人は、「撮影中、ただ黙って高良くんと山間を歩くのが幸せだった。この作品で共演できて本当に良かったです」(石田)、「僕もそうです。ゆり子さんと二人で、どこかはかない旅をしていたような感覚があります」(高良)と貴重な経験を共有した日々を振り返り、感慨深げな表情を浮かべていた。(取材・文:斉藤由紀子)
映画『悼む人』は2月14日より全国公開