井浦新、安藤サクラの不倫相手役に戸惑い -第10回大阪アジアン映画祭
女優・安藤サクラの主演映画『白河夜船』が、開催中の第10回大阪アジアン映画祭で6日にワールドプレミア上映された。舞台あいさつには安藤のほか、共演の井浦新、写真家でもある若木信吾監督も出席。同作について公の場で語るのは初めてとあって考えがまとまっておらず、途中しどろもどろになりつつも、むしろその飾らない応対で観客を魅了していた。
同作は、よしもとばななが1989年に発表した同名小説が原作。不倫に親友の死が重なって、日に日に眠りが深くなっていく主人公・寺子の苦悩を描くもの。初監督作『星影のワルツ』(2007年)がロッテルダム国際映画祭コンペティション部門に選出されるなど高評価を得た若木監督が、自ら撮影と脚本も担当。少人数のスタッフ&キャストにも関わらず、わずか5日間で撮り上げた。
本作に挑んだ理由について若木監督は「時代設定は80年代で、僕が高校生だった頃。小説の中には、今の時代に必要なモノが入っているような気がして、それをうまく現実の話へ持ってこようと思いました」と語る。出演オファーを受けた安藤は「いつもステキな写真を撮っている若木監督だけに、映画もステキになるんじゃないか」と思ったという。
一方井浦にとっては、是枝裕和監督『DISTANCE/ディスタンス』(2001年)のスチール撮影担当が若木監督だったそうで、「芝居とか全くできない頃の自分を見てくださっていた方。さらに共演者が『かぞくのくに』の安藤さんとあって、やりがいを感じました」と強い思い入れがあったことを明かした。
ただし『かぞくのくに』(2012年)では兄妹役だったが、今回は不倫という禁断の恋におちる設定だ。これには井浦も当初は「困ったな……」と戸惑ったそうだが、「『かぞくのくに』での関係性をどう壊し、新たな関係に昇華できるか。緊張感のある良い現場になるのじゃないかと思った」と経緯を振り返った。
最後に司会者から見どころを問われると、井浦は「映像美と安藤サクラさんが素晴らしい」と絶賛。これには安藤も「(観客への期待値の)ハードルをあげないでくださいよっ!」と大照れ。劇中同様に息のあったところを見せていた。(取材・文:中山治美)
映画『白河夜船』は4月25日よりテアトル新宿ほか全国公開
第10回大阪アジアン映画祭は3月15日まで大阪・梅田ブルグ7などで開催