『ローリング・ストーンズ・イン・ギミー・シェルター』を手掛けたドキュメンタリー界の巨匠アルバート・メイズルスさんが死去
アメリカのドキュメンタリー界の巨匠アルバート・メイズルスさんが、3月5日(現地時間)に、マンハッタンの自宅で膵臓(すいぞう)がんのため亡くなったとNew York Timesが報じた。88歳だった。
アルバート・メイズルスさんは、1926年11月26日、ボストンのドーチェスター生まれ。ボストン大学で心理学を3年間教えた後、1960年代にダイレクト・シネマ(1960年代に米国で始まった、撮影と同時に録音し、ナレーションを入れずに手掛ける手法)の最初の映画として評価される『プライマリー』に撮影監督として参加し、映画界に入った。
その後、5歳年下の弟デヴィッドさんと共に、製作会社「メイズルス・フィルム」を設立し、1964年にはビートルズがアメリカでツアーを行った際の映画『ホワッツ・ハプニング! ザ・ビートルズ・イン・ザ・U.S.A.(原題) / What's Happening! The Beatles in the U.S.A.』を手掛け、1969年にはローリング・ストーンズの『ローリング・ストーンズ・イン・ギミー・シェルター』、1970年にはジャクリーン・ケネディ・オナシスさんの叔母と娘の関係をつづった『グレイ・ガーデンズ(原題) / Grey Gardens』などの代表的なドキュメンタリー作品を手掛けた。
2005年には、メイズルス・ドキュメンタリー・センターという非営利団体を設立し、ドキュメンタリー作品に関した展示物だけでなく、独立系映画を製作する映画作家と会話する環境を提供していた。
近年も映画『ポール・マッカートニー/THE LOVE WE MAKE ~9.11からコンサート・フォー・ニューヨーク・シティへの軌跡』などで精力的に活動していただけに、その死が惜しまれる。 (細木信宏/Nobuhiro Hosoki)