大沢たかお、反省と後悔ばかりだった役者人生を語る
三池崇史監督が主催するトークショー「三池崇史監督 presents 大人だけの空間」が12日、東京・港区のビルボードライブ東京で行われ、映画『風に立つライオン』で主役を務めた大沢たかおが出席した。本作に企画から参加した大沢は、「役者として20年やってきましたが、いつも反省と後悔ばかりで映画を楽しむことが一度もなかった」と吐露。「ところが、この作品を観たときは、僕ではなく、主人公であるその人がいた。だから映画として初めて自分の作品を100%楽しむことができた。こんな経験は一生ないと思う」と目を輝かせていた。
本作は、シンガー・ソングライターであるさだまさしの約9分ある同名曲を聞いて感銘を受けた大沢が、さだに映画化を視野に入れた小説化を直談判したことから始まった作品。この話を取材で何度も聞かれ、さすがに話すのが苦になってきたという二人だが、三池監督は「試写会のときにさださんもいたんですが、観終わったあとに彼は『最後に僕の歌がなければなぁ』って言ったんですよ。かっこいいね」とさだにまつわるステキなエピソードを披露し、感心しきりだった。
さらに、さすがに約9分の尺は長いので、「さださん、もう少し凝縮できますかね? と聞いたら、『まかせてください!』と。ところが、数日後にお会いしたら、小さな声で『できました』って言うんで聴いてみたら、なんと46秒長くなっていた」と意外な裏話を暴露した。
一方の大沢は、「この企画を実現させるために何度もさださんにアプローチしましたが、なかなか進まなかった。こうなったらアフリカに行くしかないと思って、ドキュメンタリーの仕事を引き受けて、それをさださんに観ていただいたら、『大沢、本気だな』と思ってくれたみたいで。あとは、4年前の東日本大震災が大きな原動力になったようですね」と述懐。
さらに大沢は、「この映画は、作品というよりも生き物であり、自分にとっての宝物。映画のテーマでもある命のバトンが届いてくれるとうれしい」と熱い思いを込めて本作をアピールした。
本作は、『藁の楯 わらのたて』の三池監督と大沢が再びタッグを組み、ケニアで医療ボランティアに従事した実在の医師・柴田紘一郎氏をモデルにした主人公・島田が、心と体に深い傷を負った患者たちと真摯(しんし)に向き合っていく姿を描く。(取材:坂田正樹)
映画『風に立つライオン』は3月14日より全国公開