過激派組織IS、『スター・ウォーズ』ロケ地に暗い影を落とす…
チュニジア共和国に点在する、映画『スター・ウォーズ』シリーズのロケ地として観光名所にもなっている地域が、現在、過激派組織ISの影響を受けているという。
先月、チュニジア中心部チュニスの国立博物館で、邦人も犠牲となった銃撃事件を起こしたIS。現在、日本の外務省の海外安全ホームページでも、同国の広い範囲で「渡航の是非を検討」するように注意を促しており、その中には、観光客に人気のある『スター・ウォーズ』のロケ地も。地域の重要収入源である観光への影響と共に、当時の撮影に使用された美しい建造物などにも被害が及ぶのではとの不安が高まっている。
CNN.comなど各メディアによると、劇中で主人公ルーク・スカイウォーカーが住んでいた惑星タトゥイーン命名のきっかけになったとされ、撮影隊が滞在したというタタウィン県は、かつては映画やテレビの製作チームが行き来しても安全面で問題のない平穏な場所だったという。また、そこからほど近いトズール近郊は、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999)でアナキン・スカイウォーカーが住んだ奴隷居住区として使用され、人気観光地の一つとなっていた。
この他にも、C-3POとR2-D2が初めてタトゥイーンに降り立った現場やルークの実家、オビ=ワンの住処など、映画ファンにとって聖地ともいえるロケ地が点在。だが報道によると、タタウィン近郊は近年、チュニジアと国境を共にするリビアに渡ってテロ組織に入団しようとする者たちが通過する玄関口と化しているほか、組織が武器などを隠す場所として悪用され、町の治安も悪化の一途をたどっているという。
撮影当時、ジョージ・ルーカス監督が「まるで地球とは思えない場所」としてロケ地に選んだというチュニジアのさまざまな地域。ツーリストや映画の撮影隊が地元の人々を雇い物資を調達することも地元の大きな収入源であるというが、その根幹が大きく揺るぎ始めている。ISの存在は、貴重な『スター・ウォーズ』のロケ地跡への影響はもとより、チュニジアの将来に暗い影を落としている。(記事&取材:明美・トスト / Akemi Tosto)