天海祐希、12年前の自分に「恥ずかしい」と照れ笑い
歌舞伎役者の市川染五郎と女優の天海祐希が4日、都内で行われた『ゲキ×シネ「阿修羅城の瞳2003」』の公開直前舞台あいさつに出席した。十数年前、「劇団☆新感線(の公演)に出られるような役者になりたいと思っていた」という市川は、念願かなった本作を12年ぶりに観賞し、「僕たちってすごい!」と自画自賛で会場を盛り上げた。
ゲキ×シネは、劇団☆新感線による演劇(エンゲキ)の迫力を映画館(シネマ)で体感する映像エンターテインメント。本作は、人と鬼との壮大な恋物語を歌舞伎のような様式美で描いた傑作で、2003年にゲキ×シネの原点として初めてテスト上演されているが、劇団☆新感線35周年を記念し、デジタルリマスター版で全国上映されることが決定した。
謎の女・つばきと鬼の王・阿修羅を見事に演じ分け、気風の良さと得も言われぬ美しさで観客を魅了した天海は、「また映像になってうれしいですけど、若い自分を観られるのは恥ずかしい」と照れ笑い。
一方、“鬼殺し”と呼ばれた過去を持つ出門役で、ゾクゾクする色気と鬼気迫る立ち回りで魅せる市川は、「確かに若い。そして、僕たちってやっぱりすごいなと、ひたすら自画自賛しました」と12年たっても色あせることない自分たちの演技を大絶賛。しかし、その自信は壮絶な苦しみを経験したからこそ生まれたものであり、「あれだけしんどい、不安だった稽古はいまだかつてありません」と吐露する場面もあった。
2000年の公演でつばきを演じたのは富田靖子だった。天海は当時から出演したかったそうで、「ビデオを頂いたんですが、あまりに悔しくて観られなかった」のだとか。そして、2003年に出演が決まった際に初めて鑑賞。「やっちゃんはかわいいなと思ったんですけど、これはできないなと思い、やっちゃんのすてきなところは吸収して、わたしなりのつばきを演じました」と振り返った。
そんな天海に対する当時の感想は「おっきいな」だったことを明かし、笑いを誘った市川だが、スクリーンでのアップに耐えられる美しさも称賛。コンビネーションの良さをうかがわせる市川と天海は、「12年たってもわれわれまだ若いですから、生でやれと言われればいくらでもやります!」と宣言し、会場を沸かせた。
この日、報道陣から、先日第1子となる女児を出産した妹で女優の松たか子に対する祝福の声が掛けられた市川。言葉はなかったものの喜びは隠せないようで、笑顔で会釈を返していた。(取材・文:鶴見菜美子)
『ゲキ×シネ「阿修羅城の瞳2003」』は4月11日より新宿バルト9ほかにて全国公開