樹木希林、カンヌでも樹木節さく裂!
第68回カンヌ国際映画祭
現地時間14日、フランスで開催中の第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門のオープニング作品として『あん』が上映されるのを前に、主演の樹木希林が、河瀬直美監督、永瀬正敏、内田伽羅、原作者のドリアン助川と共に会見に出席。ヨットが並ぶ海をバックに樹木節をさく裂させ、会見を盛り上げた。
本作は、元ハンセン病患者の老女(樹木)とどら焼き店の雇われ店長(永瀬)、そして店を訪れる女子中学生(内田)の姿を通して、生きることの意味を問い掛ける人間ドラマ。今回で7作品目のカンヌ出品となる河瀬監督は、「すでに『あん』をフランスで観ていただいている方もいらっしゃいまして、非常に評判がよく、今日のメインの上映は作品の思いを持って帰っていただける、いいものになると確信しています」と充実した表情で自信をうかがわせた。
ドリアンは「河瀬監督と樹木希林さんと3人で映画を作ろうとなったとき、いつかカンヌに行けるといいねという話をしたのが、本当にこうやって夢が実現して。そしてこれからまたこの映画は世界へ広がっていくんだろうなと思っています」と感慨深げにコメント。樹木はすかさず「ドリアン助川さんはわたしが最初見かけたとき、絶叫詩人で、叫んでいたんですけど、こんなに静かにしゃべる人だとは思いませんでした。よく聞こえなかったという感じがしますけれども」と突っ込んで会場を爆笑させた。
さらに「わたしがトップタイトルになっていますが、この映画の本当の主役は永瀬さんが演(や)るあの男。ですが、シニアのお客を呼び込むために『この人出しておこう』ということでわたしが(表に)出ているわけです」「今日は河瀬監督のにぎやかしのため、やって参りました」など樹木節がさく裂。
その河瀬監督については「女性監督といって優しそうに見えますけど、こんな男性的にバサーッと作品を処分(編集)していくっていうか、そういう力強さにびっくりしました。参りましたね」と独特の表現で称賛。さらに、孫娘でもある内田が普段の樹木との関係を聞かれ、緊張で言葉に詰まっていると「もう泣いちゃいなさいそこで!」と指示を出すなどカンヌでも舌好調だった。
また、キャリアのある日本人女優として「(今回の『あん』含め)4本の日本映画がカンヌという地で上映される。それがどんな評価であろうと、それをもって来年、再来年、後の人たちの活躍につながるものになればいいと思います」と次の世代に希望をかけていた。(編集部・市川遥)
第68回カンヌ国際映画祭は24日まで開催
映画『あん』は5月30日より全国公開