樹木希林、秦基博と間接キス希望
30日、映画『あん』初日舞台あいさつが、シネスイッチ銀座にて行われ、主演の樹木希林をはじめ、永瀬正敏、浅田美代子、原作者のドリアン助川、主題歌を担当した秦基博、そして河瀬直美監督が登壇した。樹木は、秦が主題歌「水彩の月」を生歌で披露するのを目を閉じて聞き入ると「本当にありがとうございます」と深々と頭を下げて感謝の意を示した。
樹木は、秦がマイクを口につけてしゃべる姿を見ると「わたしのと交換したいわ」と発言。秦も「胸がキュンとしますね。恋かな」と返し会場を盛り上げる。さらに秦は「今日は公開初日、しかも河瀬監督の誕生日。お祝いを込めて歌わせていただきます」と主題歌「水彩の月」を熱唱した。
河瀬監督は「胸がいっぱいになりました」と感慨深い表情を見せると「わたしが秦くんのファンで、お仕事を一緒にしたときの打ち上げで、彼が芋焼酎に酔っ払っているすきにオファーしました」と裏話を披露。永瀬も「すごい曲を作られたなと……。(演じた役柄)千太郎の気分で聞いていました」と感極まり、樹木と抱き合うシーンもみられた。
「この映画はフィクションで、(劇中に出てくる)どら焼き店も架空のものです。でもわたしたちが刻んだ人々や風景は現実です」と河瀬監督は語ると、「フィルムを切ったら血が出てくるんじゃないかというぐらい心があります。この作品に意味はないかもしれませんが、役割はあります」と独特な表現で作品をアピールした。
28地域、30カ国以上での公開が予定されている本作。一昨日、アメリカでの公開も決定した(詳細未定)。原作者のドリアンは「日本を代表する監督、キャスト、そして歌手が参加してくれたこの映画が、世界中に飛んでいこうとしています」と感無量の表情を浮かべていた。
本作は、映画『殯(もがり)の森』でカンヌ国際映画祭グランプリを獲得した河瀬直美監督の最新作。どら焼き屋を舞台に、過去のある雇われ店長と、志願して店にやってきた老女との心の交流を描いたヒューマンストーリー。(磯部正和)
映画『あん』は全国公開中