急逝した脚本家・南木顕生さんの初監督作『ニート・オブ・ザ・デッド』が公開
2014年4月4日に49歳の若さで急逝した脚本家・南木顕生さんの初監督作『ニート・オブ・ザ・デッド』初日舞台あいさつが13日、渋谷ユーロスペースで行われ、筒井真理子、木下ほうか、そして本作プロデューサーで監督夫人の南木宙子さんが来場、笑顔で故人をしのんだ。この日は同時上映作品『遺言』の中島菜穂、小柳基、木部公亮監督もともに来場した。
急逝した脚本家・南木顕生さんの初監督作が初日! 筒井真理子、南木宙子夫人らが 画像ギャラリー
南木さんは、1995年に『狩人たちの触覚』(佐藤寿保監督)で脚本家デビュー。その後も脚本家として『歌舞伎町案内人』などの映画、テレビ、Vシネマなど数々の作品を残してきた。監督デビュー作となった本作は、映画監督の佐藤佐吉、白石晃士らのサポートを受けて制作。引きこもりの息子(金子鈴幸)がゾンビになってしまい、両親(筒井、木下)が彼を家から追い出すべきか否かで衝突するさまを描き出すという新世紀のカルト映画だ。
この日は立ち見も出る大盛況。母親役で出演した筒井は「(南木さんが脚本を書いた)『いのちのコール ~ミセス インガを知っていますか~』という映画に出演したんですが、主人公の教師が、ビールで睡眠薬を飲んだりと破天荒な人で。(ベット・ミドラー主演の映画)『ローズ』を思い出したんです。その後、南木さんにお会いして、この人こそが破天荒なローズそのものなんだと思いました。大人なのに、こんなに言いたい放題な人がいるんだなと」と述懐。木下も「とにかく思ったことはすぐに口にするからトラブルが絶えず。われわれはよく南木さんの仲裁をしていました。よくあんな人と結婚しましたね」と宙子夫人に語りかけ、会場は大笑い。
「家では料理をしてくれたり、優しい人でした」と笑顔を見せた宙子夫人は「亡くなる前、僕が死んだらこの映画はヒットするかもしれないねと言っていて。わたしは『そんな調子のいいことはない。(元気になって)自分でプロデュースしないとダメだよ』と言ったんですが、それはかないませんでした」と語ると、その瞳にはうっすらと涙が。それでも気力を振り絞るように「でも今はこの舞台に降りてきて、皆さんと一緒に映画を見守ってくれているんだと思います。友人の力を借りて映画を完成させて。主人は本当にしあわせものです」と語りかけた。(取材・文:壬生智裕)
『ニート・オブ・ザ・デッド』『遺言』は渋谷ユーロスペースにて二週間レイトショー