計測のエキスパートって?北欧の奇才ベント・ハーメル初のヒロイン映画
『卵の番人』『キッチン・ストーリー』などユーモラスな世界観で知られるノルウェーの奇才・ベント・ハーメル監督最新作『1001グラム ハカリしれない愛のこと』の予告編が公開となり、“計測のエキスパート”という特殊な仕事の一端が明らかになった。
『卵の番人』(1995)、『キッチン・ストーリー』(2003)、『酔いどれ詩人になるまえに』(2005)、『ホルテンさんのはじめての冒険』(2007)、『クリスマスのその夜に』(2010)など、これまで日本で劇場公開された作品はいずれも男性が主人公(※『クリスマスのその夜に』は男女の群像劇)だったが、本作の主人公は女性。ノルウェー国立計量研究所勤務という特殊な仕事に就いており、スキージャンプ台の長さ、ガソリンスタンドのメーターなどありとあらゆるモノを計測する日々を送っている。
「計測」に関してはプロだが、結婚生活は破たんし離婚の手続き中。その上、計量研究所の父が病に倒れ、まさに泣きっ面に蜂の状態。父の代わりに1キログラムの基準となる精密機械キログラム原器を携えて、パリでの国際セミナーに出席するという重責を担うが……。予告編では、計量研究所の宝であるキログラム原器を慎重に扱い、肌身離さず持ち歩くヒロインの緊迫した様子、そしてセミナー後に車の事故でキログラム原器が破損したことから人生が激変していくさまが映し出されている。
思わぬアクシデントに、「周りにあるものが全て壊れていくみたい」と絶望するヒロイン。そして、そんな彼女を変える一期一会の出会い……。人生は計測できないからこそ、面白い。そんな前向きなメッセージを思わせる予告編となっている。本作は2014年に行われた第27回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品され、約1年を経て劇場公開される。(編集部・石井百合子)
映画『1001グラム ハカリしれない愛のこと』は10月31日よりBunkamuraル・シネマほか全国公開