レディー・ガガ、同じレイプ被害者たちとの感動パフォーマンスの裏側
第88回アカデミー賞
第88回アカデミー賞授賞式で自身と同じくレイプの被害に遭った50人の男女と共にステージに立ち、歌曲賞にノミネートされていた映画『ザ・ハンティング・グラウンド(原題) / The Hunting Ground』の「Til It Happens to You」を歌ったレディー・ガガが、Instagramなどでその裏側を明かした。
『ザ・ハンティング・グラウンド(原題)』は、アメリカの大学キャンパスで起きたレイプ事件を題材にしたドキュメンタリー。19歳のときに20歳以上年上の音楽プロデューサーからレイプされたことを公表しているガガは、同作のためにソングライターのダイアン・ウォーレンと「Til It Happens to You」を制作した。「それがあなたに起こるまでは」というタイトルの同楽曲は、被害者にしかわからない苦しみをリアルに表現したものになっている。
「サバイバーたち(レイプ被害者たち)との初めてのリハーサルの日、わたしは自分をコントロールすることができなかった。体は腫れと痛みでボロボロで、泣いて震えながらステージまで歩いていった」とInstagramに記したガガ。自身も“このグループ”に属するという事実についに直面することへの恐れで、前の晩は一睡もできなかったという。
「彼らには“レディー・ガガ”で居られなくて本当にごめんなさい、と言った。歌もダメで高音は全然出なかったし、ドレスアップもできなくて、汗だくの髪でよれよれのTシャツにジーンズという姿だった。でもみんなはわたしを抱き締めて、この方が自然だから大丈夫だよと言ってくれた。彼らは、彼ら自身も痛みの中にいることを理解していたから。彼らは、わたしを支えるためにここに居ると言ってくれた。この曲のメッセージを伝える必要があるからって」。最低の状態の自分を受け入れてくれた彼らなしでは強い気持ちになることなどできなかったと打ち明けたガガは、彼らに感謝し、その勇気をたたえている。
そうして迎えた本番でガガは、ピアノの弾き語りで同楽曲を熱唱。一人一人が腕に「あなたのせいじゃない」「君は一人じゃない」といったメッセージを書いたサバイバーたちは彼女を囲むようにして力強くステージに立ち、会場からは涙のスタンディングオベーションが送られた。ガガは「重荷を下ろせた気がした。もう何も隠さなくてもいいんだって」とパフォーマンス後の心境をつづっている。(編集部・市川遥)