名バイプレイヤー、クリス・クーパーが明かす大工だった過去とは?
映画『アメリカン・ビューティー』『アダプテーション』など数々の秀作に出演してきた名バイプレイヤー、クリス・クーパーが、新作『デモリション(原題) / Demolition』について、3月20日(現地時間)にニューヨークのエセックス・ハウスで行われたインタビューで語った。
本作は、交通事故で妻を亡くし、精神的に病んでいた投資銀行家デイヴィス(ジェイク・ギレンホール)が、自動販売機のカスタマーサービス担当の女性カレン(ナオミ・ワッツ)と彼女の息子クリス(ジュダ・ルイス)との出会いによって、徐々に再生し始めていくというドラマ。クリスは、ジェイク演じるデイヴィスの義理の父親フィル役に挑戦し、映画『ダラス・バイヤーズクラブ』のジャン=マルク・ヴァレがメガホンを取った。
フィル役に共感は持てたのか。「遅かれ早かれ、若かろうが、年を取っていようが、自分の親愛なる家族が亡くなる経験をする。実を言うと今作は、長年出演アプローチをかけられていて、(何度か改稿された)脚本と、これまでのさまざまな体験から、このタイミングで出演しようと決めた。フィルが(娘の死によって)取る行動に非常に共感が持てて演じる気になった」と答えた。
ジェイクとの再共演について「彼と初めて共演したのは『遠い空の向こうに』で、彼はまだ16歳ぐらいだった。2度目は『ジャーヘッド』で、その時の彼には若くて何か特別なものを感じた。そして今作では素晴らしい俳優になり、男としてもジェントルマンに成長していた。今回はお互いが難しい役を演じているが、何度か共演したことで演じやすかった。『遠い空の向こうに』のときには、セットを訪れていた彼の母親とも仲良くなり、映画一家の彼の家に食事に招かれたこともあるんだ」と長い付き合いであることを明かした。
今作では、精神的に病んでいたデイヴィスが家を壊していくシーンがあるが、実際にあのように物を壊した経験はあるのだろうか。「マンハッタンに移る前に、カンザスの野球スタジアムで1970~71年まで働いていた際に、(スタジアムの)大工として働いていた。その後マンハッタンに移り、ミッドタウンに当時住んでいた僕は地下鉄に乗り、アッパーイーストサイドに移動して、金持ちの家のキッチンなどを壊したり、改築などさまざまな作業をしていた。そのため、今作のようにハンマーで壁を壊したことは数え切れないほどあるんだ」と振り返った。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)