西田敏行、抱えられながら撮影!『アウトレイジ』壮絶なクランクイン
俳優の西田敏行が25日、イイノホールで行われた映画『アウトレイジ 最終章』ジャパンプレミアに出席し、脳出血で休養を余儀なくされていた塩見三省と共に「初日はみんなに抱えられながら撮影したんです」と壮絶なクランクインだったことを明かした。本イベントにはメガホンを取った北野武監督のほか、大森南朋、ピエール瀧、松重豊、大杉漣、白竜、名高達男、光石研、池内博之、金田時男、岸部一徳も出席した。
西田は「頚椎の亜脱臼と胆のう摘出で4か月の入院生活を送っていたのですが、その直後にこの映画のお話をいただきました。同時期に塩見三省くんも、いろいろ障害を抱えており、リハビリをやりながらの撮影になりましたが、皆さんに支えられながらも撮影ができたことに喜びを感じていました」と当時を振り返ると「実は(劇中で)振り向くとき、首が回らないので体ごと向いてるんです。そういうところも観てくださいね」と自身の病気を笑いに変えて会場を盛り上げる。
また脳出血後、久々の公の場となった塩見は「北野監督とまたお仕事ができたこと、わたしにとっては最高の喜びと最高の時間でした」としみじみ。さらに、鋭い視線で客席を見渡すと、腹の底から搾り出すようなドスの効いた声で『アウトレイジ 最終章』グッとくる映画です。よろしくお願いします」と力強く語った。
この日は日本を代表するベテラン俳優たちが勢ぞろいしたが、みな北野監督作品に出演できることへの喜びは強い様子。この面子の中では若手の大森も「北野監督の大ファンなので、チャンスがあればとアプローチしていたのですが、第1弾では加瀬亮くんが、第2弾では桐谷健太くんが出演していました。嫉妬や恨み辛みが渦巻いていたのですが、ようやく最終章で出演することができました。夢が叶った最高の現場でした」と熱い思いを明かす。
俳優たちの熱意に北野監督は「ありがたいことに僕の映画は、日本を代表する役者さんが出演してくれるので、台本さえ渡せば勝手に進行してくれる」と絶大なる信頼を述べると「(シリーズを)長続きさせようと思えばできたけれど、最終章にしたのは、深作欣二監督の『仁義なき戦い』シリーズみたいになってしまうから。死んだ人間をまた登場させるわけにはいかないからね」と語り、客席を笑わせた。
「ヨーロッパでは『北野武はバイオレンス映画にしか興味がない』と思われているので、次は純愛映画を撮ると言っています。小説を書いたらまぐれで当たってしまったので」と北野監督は照れ笑いを浮かべると「これが区切りになっていますが、何年か経ったらまた、日本の役者オールスターズでとんでもない映画を撮りたいと思っています」と野望を語っていた。(磯部正和)
映画『アウトレイジ 最終章』は10月7日より全国公開