裕木奈江、「ツイン・ピークス」驚きの裏側を明かす
大ヒットドラマ「ツイン・ピークス」の25年後を描く新シーズンで、謎の女性Naidoを演じる裕木奈江が、「限界を超えた」という撮影現場の裏側や監督のデヴィッド・リンチから受けた独特の演出などを明かした。
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前シーズンのラストで衝撃的な結末を迎えた主人公のFBI特別捜査官デイル・クーパー(カイル・マクラクラン)が、複数のキャラクターとして登場するなど驚きの展開が続く新シーズン。本作で『インランド・エンパイア』(2006)以来、約11年ぶりにリンチとタッグを組んだ裕木は、第3話で初登場。異次元と思われる場所でクーパーを導く、謎めいた女性Naidoを演じた。
ベルベットのドレスを着たNaidoは、目がプロステティック(特殊メイクの一種)で覆われているため、一見裕木とわからない人もいるかもしれないが、一度観たら忘れられない不思議なキャラクター。「台本上では“目を縫い閉じられた女性”とあったのですが、彼女が何者なのかは監督からも明かされていません。演じるときには、きっとどこかに小さな穴が開いていて見える状態になっているはずと思っていたら、デザイン重視のせいか穴はなく、全く見えない状態で演技をしていたんです」と驚きの裏側を明かす。
「特殊メイクもありわたしは準備に一番時間がかかるので、一番先に現場に入っていました。何も見えないので車いすを用意していただいて。スタッフさんに押していただきながら現場に向かい、撮影の際には『何歩歩くと暖炉があって……』といったふうに段取りを行って演じていたのですが、忍耐力の限界を超えることもありました。そもそもメイクに2、3時間かかっているうえに、何も見えない状態でいることが14時間に及ぶこともあったので」。
とはいえ、一人特殊な状況にいる裕木へのスタッフやキャストの気遣いもあったそうで、リンチは自ら裕木のトレーラーに出向いて声をかけたことも。「現場でクーパー役のカイル・マクラクランさんに『ハーイ!』って挨拶するんですけど、カイルさんは驚いた様子で『(目は見えないけど)声を聴けただけでもうれしいよ』という調子で(笑)。監督はわざわざトレーラーまで来てくださって、「久しぶりだね! 見えないけど……大丈夫?」と心配してくださいました(笑)」。そうして、「ちょっと怖いけど大丈夫。ここにいられてうれしい、ハッピーだから」と自らを鼓舞していたのだという。
またリンチの演出については、「(クーパーの上司である)ゴードン・コールを演じられているときはとても大きな声ですが……」と前置きしながら、その独特な様子について明かす。「『ここに静かにパチパチパチっと暖炉の音が聞こえてくるだろう。そこでカチャッと扉が開く音がするんだ。そこではまだ『何だろう?』ぐらいにしか思わない。でも、誰かが入ってきたようだ。それはもちろん普通じゃないこと。でも嫌なエネルギーは感じない……』といったように、まるで子供に絵本を読み聞かせるように静かに、ゆっくりと演出してくださいました」。
第3話の放送直後、裕木が演じたキャラクターについて、“ピーカー”(「ツイン・ピークス」マニア)たちの間で「あれは何者だ?」と騒然となったと言い、東洋人だったため「前シーズンでジョアン・チェンが演じたジョシーではないか?」などさまざまな憶測が飛び交ったという。「わたしの知らないたくさんの情報が飛び交っていて、驚きました。そういった情報を読んでわたしもググって調べたり(笑)。この作品には、放送後に周りの人と盛り上がれる楽しみがありますよね」。
アメリカでは今年5月21日より放送開始、9月3日に終了した新シーズン。調べによると、日本では、今後裕木は10月28日に放送される第14話に登場する予定。裕木いわく「ビックリする」展開が待ち受けているという。(取材・文:編集部 石井百合子)
新作「ツイン・ピークス」はWOWOWプライムにて放送中(全18話)
※毎週土曜夜9:00(二カ国語版)、毎週金曜夜11:00(字幕版)
今冬全話一挙放送