松坂桃李、俳優40周年の役所広司に脱帽
俳優の役所広司と松坂桃李が12日、都内で行われた映画『孤狼の血』(公開中)の初日舞台あいさつに登壇。松坂は『日本のいちばん長い日』以来、映画では2度目の役所との共演となったが「この映画ではバディという関係性もあり、勝手ながら、親のような師匠のようないろいろな感情を抱きました。でも最終的には大きくて分厚く遠いなと感じました」と役所の人として、俳優としての存在の大きさに脱帽していた。
本作は、映画『凶悪』などの白石和彌監督が、柚月裕子の小説を基に映画化。暴力団対策法成立以前の昭和63年の広島県を舞台に、暴力団と警察とのシビアな関係を描いた作品。役所はベテラン刑事・大上章吾、松坂は新米エリート刑事・日岡秀一にふんして暴力団たちと対峙している。
この日は役所、松坂のほか真木よう子、中村倫也、音尾琢真、阿部純子、ピエール瀧、江口洋介、原作者の柚月、白石監督が勢ぞろいして映画初日を祝ったが、今年、俳優生活40周年を迎える役所は「ギリギリ体力が持ったかなというハードな作品に40周年という節目に出会えて幸せでした」と感慨深い表情で語ると、「松坂くんも40年を迎えるときには全裸で仕事をしているんじゃないですかね」と自身が劇中で見せた渾身のシーンと、松坂が映画『娼年』でみせた全裸シーンをかけたあいさつで会場を盛り上げる。
さらに役所は「松坂くんは格好いいからね」としみじみ語ると「本当にラストまで、自分の役柄を繊細に積み重ねていく姿は素晴らしい。まっすぐな目の力は共演者として頼もしい」と絶賛。そんな役所の言葉に松坂は「恐れ多いです」と恐縮しつつも、「ご一緒させていただいた時間は、かけがえのないものです」と羨望の眼差しで役所を見つめた。
男たちの無骨な姿をハードな描写で描き切った白石監督は、ピエールや音尾ら白石組常連俳優たちから「鬼畜どんぐり」と呼ばれていたが、「確かに目を覆いたくなるようなエグいシーンはありますが、最高のキャストたちと身を削って、良いアイデアを届けられるように、皆さんに協力してもらいながら作りました。全国330館で上映されるなんて、本当にうれしいです」と満面の笑みを浮かべると、役所も「僕らは昔、こういう映画を観て男を磨いたものです。映画がヒットすれば、また続編が作れると思います。ぜひ映画館に足を運んでください」と熱い思いを語っていた。(磯部正和)