是枝監督『万引き家族』がカンヌで高評価!パルムドールに期待高まる
第71回カンヌ国際映画祭
第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品されている是枝裕和監督の新作『万引き家族』が、海外メディアから非常に高い評価を得ている。最高賞パルムドールをはじめとした受賞結果が発表されるのは、映画祭最終日の現地時間19日だ。
映画祭では各国メディアの批評家による採点を集めて掲載する「星取表」が配布されており、英語の Screen International 誌ではすでに評価が載っている16作品中2位となる平均3.2点を獲得(4点満点・コンペは全21作品)。仏語の Le film francais 誌でも15作品中2位で、パルムドールに推す声も多い。「泥棒の家族が盗むのはハートだ。ディテールや一瞬一瞬が繊細なタッチで描かれ、芳醇で、満足感を与えてくれる映画(The Guardian)」「是枝は、この犯罪者家族の胸を引き裂くドラマで、世界最高の作家の一人だと自ら再び証明した(IndieWire)」など絶賛評が相次いでいる。
全てはケイト・ブランシェットら9人の審査員団による判断となるため、ふたを開けてみるまでわからないのが本当のところ(近年では批評家大絶賛の『ありがとう、トニ・エルドマン』が無冠に終わりブーイングが起きたことも)。しかし、海外でのこの好反応には、パルムドール受賞の期待もおのずと高まってしまう。
17日に取材に応じた是枝監督は「街を歩いていてもグーサインをされたり、声を掛けられたりするので、それは本当にうれしいです」とほほ笑むなど、『万引き家族』がカンヌでいかに愛されているかを肌で感じている様子。受賞については「どうなるかわかりませんが、期待が残った状態でここに居られるというのはよかったです。(批評は)悪い時には見ないようにして、いい時でも『そうか、そうか』と。そのくらいの感覚でいないと」と気負うことなく語っていた。
『万引き家族』は、さまざまな家族の形を描き続けてきた是枝監督が、この10年間考え続けてきたことを全て込め、犯罪でしかつながれなかったある家族の姿から本当の絆とは何かを問うドラマ。是枝監督にとって5度目のカンヌコンペ出品作で、これまでに『誰も知らない』(2004)では主演の柳楽優弥に最優秀男優賞をもたらし、『そして父になる』(2013)では審査員賞を受賞している。(編集部・市川遥)
映画『万引き家族』は6月8日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにて全国公開