押切蓮介&内藤瑛亮監督「ミスミソウ」と「ハイスコアガール」の共通点を語る
映画『ミスミソウ』のブルーレイ&DVD発売記念イベントが3日、新宿バルト9で行われ、内藤瑛亮監督と原作者の押切蓮介が登壇。内藤監督は、先日、押切が約8年間にわたる連載を終了した「ハイスコアガール」と、今回映画化された「ミスミソウ」について「構造が似ている」と言及した。
『ミスミソウ』は東京から田舎に転校してきた少女が、“部外者”として壮絶ないじめを受けたことから起こる、壮絶な愛憎劇を描いた作品。一方の「ハイスコアガール」は、1990年代のゲーム文化を背景にしたラブストーリーだが、内藤監督は、両作で描かれる三角関係的なものが、押切漫画をドライブさせていると力説する。
さらに「それぞれが(自分に)寄せられている思いに、みんなが気づいていないがゆえに物語が展開していく。『ハイスコアガール』では(登場人物が)ゲームのレバーを握ったけれど『ミスミソウ』ではナイフだったという、ささやかな違い」と解説した内藤監督。押切も「意識してやったつもりではないんですけれどね」と感想を述べつつも「でも、時代背景は一緒なんですよね」と内藤監督の視点は腑に落ちているようだった。
その押切は「人生のピークは今年。今後もう一段上がらないといけないのですが(連載が終わって)マンガへのモチベーションが上がらない。いま一番興味があるのは自主映画」と発言しながらも「『ハイスコアガール』に影響を受けてしまっていますが、もっと辛らつなものを久しぶりに描かないといけないと思っているので、頑張って描きますよ」と意欲を見せる。
一方の内藤監督は、いじめで人を殺した加害者を描く『許された子どもたち』を製作中。『先生を流産させる会』をはじめ罪を犯した少年少女たちを描く作品が多いことについて「神戸連続児童殺傷事件の加害者と僕は同学年なんです。肌感覚としてそういうものが近くにあって、僕自身も暗い学生生活で、ああいう事件が他人事だと思えない。そんな気持ちが作品に反映されていくのかなと思っています」と述べていた。
世界6か国で8つの映画祭へ出品された『ミスミソウ』だが、この日は、10月27日からスペインで開催される「サンセバスチャン ホラー&ファンタジー映画祭」への出品も決まったことが発表された。(磯部正和)