橋本環奈、自然体の素顔
映画『十二人の死にたい子どもたち』(1月25日公開)のメインキャスト12人のうち、最後まで出演が伏せられていた橋本環奈。正体不明のまま、顔の大部分を隠したビジュアルのみが公開され、ネットでは「誰?」と大きな話題を呼んだ。それは耳に届いたという橋本だが、普段は出かける際も変装をしない。他人の目はあまり気にしないようにしているという。
冲方丁のサスペンス小説を堤幸彦監督が映画化した本作。集団安楽死を目的に廃病院に集まった12人の少年少女が、死体を見つけたことで疑心暗鬼に陥っていくさまを描き出す。橋本が演じるリョウコは、子供のころから芸能界で活躍を続ける人気女優。主要キャスト12人が発表された際、リョウコのみ芸名の秋川莉胡とされ謎の存在のままだった。
今回のキャスト発表に関しては自身の発信するTwitterのリプライで反響を目にした。取材は出演発表前で、橋本は「『環奈ちゃんじゃないんですか?』というコメントもありました」といたずらっぽく笑っていた。
当初、橋本と知らされずに公開された写真の顔は、深くかぶった帽子と大きなマスクで覆われていた。リョウコが顔を知られた芸能人であることを象徴するかのようなこの姿。橋本自身はプライベートの外出時も変装はしないそう。「“私このまま”です。そんなにわかりませんよ」とあっけらかんとしていた。
世間の目には「無頓着」ときっぱり。「私はいつでもどんな場所でも誰相手でもフラットにいようと思っていて、どこに行っても変わらず自分。どの部分が自分の素なのかもわかってないくらい、いつも素なんです」。
リョウコは、女優としての自らを“大人たちに作られた虚像”であると信じ葛藤を抱えている。劇中では「作られた人間よ! 大勢の大人が時間とお金をかけて作った商品よ!」という台詞も飛び出す。観客はおのずと橋本自身とイメージを重ねてしまいそうだが、本人は「役と通じるものは一つもない」と語る。しかし、リョウコの気持ちは理解することができ、その心に寄り添うように演じたという。
「どう見られるか」は気にならないという橋本だが、タレントとして自分が「どう見えるか」には常に意識を傾ける。橋本にとって「自分自身を客観的に見て、自分で自分に責任を持つこと」が仕事のモットー。
「それがこの仕事で、自分がやりたいことをやるためには大事なことだと思うんです。自分を客観的に見てどう進めていくか。“橋本環奈”というものをどう世に伝えていくか。自分自身がそれに関わっていかないといけない。マネジメントだけで人に頼りすぎるのはよくないなと思っているんです」
2月には二十歳の誕生日を控える。20代になる実感はないという橋本にとって、現在の活躍も過去の自分には全く想像できなかったもの。“1000年に1人の逸材”とネット上で注目を浴びてから約5年を「あっという間だった」と振り返る。
「ネットに出た写真が話題になっただけで、すぐ消えるのかなと思っていました。みんなからもそう思われていただろうし。でもそんな中で一つ一つの仕事を丁寧にやることで、また新しいものにつながっていくというのを実感しました。逆に一つの仕事を全うしないと次がない。だからこそ、気を抜けないし、手を抜けないし、今を全力でやるしかないのかなって思いますね」
これまでのイメージを大きく裏切るような本作への出演を含め、この2年は新しいことに挑戦し続けた年だったと語る橋本。一方で「今挑戦しないと、いつ挑戦するんだ」という思いは変わらない。新しいことに挑むにはエネルギーがいるが「そうでないと後から後悔しちゃうんです。私、頑固なので」と語り、女優業への強い信念をのぞかせていた。(編集部・小山美咲)