「きのう何食べた?」で注目の磯村勇斗、先輩俳優と共演の裏側 新ドラマでサウナー役
「サウナは“心の整体”と言われるぐらいで、僕は整体に行ってほぐされるより体が整う気がするんです」。そう、サウナの魅力を語る若手注目株・磯村勇斗(26)。先ごろ終了したよしながふみ原作の連続ドラマ「きのう何食べた?」(テレビ東京系)では、原作でもとりわけ人気の高い同性愛者の小悪魔的キャラ・ジルベールこと井上航にふんし、好評を博した。引き続き同局の7月クール深夜ドラマ「サ道」(7月19日スタート、毎週金曜深夜0時52分~)に出演する彼が、原田泰造、三宅弘城らベテラン俳優陣との撮影現場を振り返った。
「コップのフチ子」の企画・原案や「バカドリル」などで知られるタナカカツキが自身の体験談をつづった『マンガ サ道』(講談社モーニングKC刊)に基づく本作。伝説のサウナー・蒸しZ(宅麻伸)の後を追って全国を旅する主人公ナカタ(原田泰造)の体験談が、中年サラリーマンの“偶然さん”(三宅弘城)、コンサル会社を経営するイケメン蒸し男(磯村勇斗)らサウナー仲間との会話を交えながら展開する。磯村が演じる蒸し男は、劇中に挿入されるサウナの専門用語の説明パートも担う。
本作への出演をきっかけにサウナの奥深い魅力を知ることとなったという磯村が、初めてサウナに触れたのは幼少期。「小学生ぐらいのときに父親についていったのですが、その時は『こんなところ来たくない』『苦しい』という感じでしたね。なんで大人はこんなところに入っていくんだろうと。でも、ドラマがクランクインする前に台本を読み込んで、倣って入ったら見事に“ととのう”ことができて……」。“ととのう”とはサウナの専門用語で、サウナ室→水風呂→休憩を3回程度繰り返すことで得られる快感、一種のトランス状態のこと。磯村は、そのときのえもいわれぬ体験を、こう振り返る。
「『ああ、これか!』と。僕も“ととのう”ってどういうことなんだろうと気になっていたんですけど、実際に自分が経験した感じでは言葉も出ない、溶けていくような感覚というか。意識がなくなることさえあります。『あれ、結構時間経っていた?』みたいな」
本作は「サウナ」が舞台とあって、狭い空間で先輩の原田、三宅とがっちり向き合っての芝居となるが、気負うことなく撮影現場はいたって和やかだったようだ。「ひたすら裸でしゃべっている、という感じで無駄なものがないので会話にも集中できましたし、本当に楽しく3人でお芝居をしていました。お二人のリアクションがおかしくて、思わず笑ってしまうこともありました。原田さん、三宅さんからおすすめのサウナやこれまでの体験談など、いろいろと教えていただきました」
先輩俳優との共演と言えば、2017年放送の朝ドラ「ひよっこ」では有村架純、宮本信子、佐々木蔵之介らと現場を共にし、「きのう何食べた?」では西島秀俊(シロさん)、内野聖陽(ケンジ)、山本耕史(小日向大策)に囲まれながらも、伸び伸びと演じていた。とりわけ後者で演じたジルベールはアクの強いキャラクターだが、4人で集う場面では主張し過ぎることもなく、控えめすぎることもなく、その匙加減が絶妙だ。「先輩だからと特に意識しているわけではないんです」と言いつつ、磯村には現場で必ず自分に課していることがあるという。
「自分としてはその場で感じたことを芝居として表現するだけ、のつもりではありますが『自分よりも相手(が大事)』『相手ありきの自分』というのはどこかしらで思っている気がします。加えて、そのシーンでの相手との関係性はすごく考えます。例えば、『きのう何食べた?』ではシロさんとケンジとでは、ジルベールとの距離感も違うでしょうし、恋人の大ちゃん(小日向)はもっと近いですよね。それと同時に、作品全体を俯瞰で見る視点を持つようにしています。このシーンはどういう意味を持っているのか、どういう役割を持っているんだろうと。それは癖になっていると思います」
出世作である「仮面ライダーゴースト」(2015)の後、朝ドラ「ひよっこ」の見習いコック・ヒデ役で知名度がアップ。昨年は初の月9「SUITS/スーツ」、ヤンキー役が当たり役となった「今日から俺は!!」などの連続ドラマのほか、『ういらぶ。』『春待つ僕ら』などの青春映画に出演。今年は、AbemaTVオリジナル連続ドラマ「御曹司ボーイズ」でドSなツンデレ御曹司に。8月より東京で上演されるPARCO プロデュース「プレイハウス」では初のミュージカル主演を務める。(取材・文:編集部・石井百合子)