ジョーカー俳優ホアキン・フェニックス、壮絶減量の影響
10月4日に日米同時公開される映画『ジョーカー』で、悪のカリスマへと変貌していく主人公を演じたホアキン・フェニックスが、役づくりのために挑んだ減量体験について語った。
本作でホアキンが演じる主人公アーサー・フレックは、都会の片隅でコメディアンを夢見て生きる孤独な男。年老いた母親の面倒を見ながら、ピエロメイクの大道芸人で糊口をしのぐ彼は、驚くほどやせっぽっちで、街のワルガキたちに簡単に袋だたきにされてしまうほどひ弱。本作では、そんな悪のカリスマのイメージとはほど遠い彼が、ジョーカーになるさまを描き出す。
どちらかといえばたくましい体つきのホアキンだが、役に挑むにあたってハードな減量に挑戦。「(減量を)始める前は、太っていたんだ」と苦笑しながら「幸運なことに時間はあった。最初の2か月は、自分で減量に挑んだんだ。カロリーを落とし、ワークアウトをしてね。撮影の2か月前には栄養士と一緒に取り組んだ。かなり特殊なカロリー制限のダイエットをやったんだ。ビタミン剤やミネラルは摂取していたけど、カロリーは取らなかった。かなりタフだったよ」
実際、スクリーンに映し出される、骨と皮だけのようなアーサの肉体は、鍛え上げた筋肉に勝るとも劣らないインパクト。さらにホアキンは、この減量が「役者としての僕にとっても、役立ったと思う」と語る。「アーサーは、自分の人生に満足したことがなく、いつも“もっと何か”と渇望している。彼は、愛と尊敬と憧れに満たされたいんだ。そういうフィーリングを減量が僕に与えてくれた」
また、目標体重に到達できたことも、ホアキン自身を力づけてくれたという。「ある意味で、(生きるため)自分に何かを食べさせるという、人間が必要とする欲望に打ち勝ったわけだからね。自分の体を極端な状態に持って行く時、そこには、力がみなぎる感覚があるんだ。そして突然、自分の筋肉の動き方にまで気がつくことができたんだよ。そうしたことの全てが、アーサーのキャラクターを作り出す上で大きな役割を果たした」
そんなホアキンだが、当初はジョーカー役を受けるか否か、かなり迷っていたという。「できるかどうか自信がなかった。どんな役でも簡単には受けない。この役も決断までに時間がかかった。できないかもしれないという、恐怖心に駆られたんだ。こなせるかどうかわからなかった」。それは、社会から忘れられたように生きるアーサーが、いかにジョーカーになっていくのか、その過程を演じるうえで生じた悩みでもあったようだ。「この映画が言わんとしてることを深く掘り下げ無ければならないわけだけど、それだけでもかなりの挑戦だと感じた。同時に役者としての僕、人間としての僕への大きな挑戦だとも理解した」と語るホアキンは、「そしてさらに、観る人にとってもチャレンジングなものとなる」と付け加えている。(編集部・入倉功一)