問題作『ジョーカー』が記録破りの大ヒット!脅迫や自主避難など各地で混乱も
全米ボックスオフィス考
先週末10月4日~10月6日の全米ボックスオフィスランキングが発表され、映画『ジョーカー』が興行収入9,620万2,337ドル(約106億円)の大ヒットで初登場1位に輝いた。(数字は Box Office Mojo 調べ、1ドル110円計算)
『ジョーカー』は、社会から軽視されてきた貧しい大道芸人(ホアキン・フェニックス)が“悪のカリスマ”ジョーカーへと変貌していくさまを徹底的にリアルに描いたドラマ。10月公開作としては2018年の『ヴェノム』(興収8,025万5,756ドル・約88億円)を大きく上回り、歴代最高のオープニング興収記録を樹立した。R指定映画の歴代オープニング興収ランキングでは、『デッドプール』『デッドプール2』『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』に次いで4位となった。
また、DCコミックス作品としても、バットマン、ワンダーウーマン、アクアマンらヒーローたちを集結させた2017年の超大作『ジャスティス・リーグ』のオープニング興収(9,384万2,239ドル・約103億円)を上回る快挙を達成。『ジョーカー』の製作費は、『ジャスティス・リーグ』の五分の一といわれている。
第76回ベネチア国際映画祭で金獅子賞に輝くなど称賛を浴びる一方、リアルな暴力描写が人々にもたらす影響を不安視する声も多く、かつて『ダークナイト ライジング』の上映中に銃乱射事件が起きたこともあり、本作の公開に際して陸軍、警察、各劇場が警戒を強めていると報じられていた。賛否両論の問題作として話題を呼んだことが今回の大成功の一助となったようだが、実際に混乱が起きた劇場も。
カリフォルニア州ハンティントン・ビーチにある大手シネコン・シネマークの劇場では3日のプレビュー上映が脅迫があったため中止になり、4日にはニューヨーク・タイムズスクエアの劇場「AMC Empire 25」で男が殺人シーンのたびに大きな拍手をし、乱暴な態度を取ったため、身の危険を感じた三分の一の観客が席を立ったという。5日にはカリフォルニア州ロング・ビーチ・タウン・センターの劇場で黒いリュックを背負った不審な男が非常口の近くに立って観客を観察しており、恐怖を感じた観客たちは自主避難したとのこと。出動した地元警察は、男は武器などは所持していなかったものの、別件で逮捕状が出ていた人物だったため拘留したと発表している。
今週末は、ウィル・スミス主演のSFアクション『ジェミニマン』や、アニメーション版『アダムス・ファミリー』などが公開される。(編集部・市川遥)
10月4日~10月6日の全米ボックスオフィスランキングは以下の通り。()は先週の順位。
1(初)『ジョーカー』
2(1)『アボミナブル(原題) / Abominable』
3(2)『ダウントン・アビー』
4(3)『ハスラーズ(原題) / Hustlers』
5(4)『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』
6(7)『ジュディ(原題) / Judy』
7(5)『アド・アストラ』
8(6)『ランボー:ラスト・ブラッド(原題) / Rambo: Last Blood』
9(初)『ウォー(原題) / War』
10(8)『グッド・ボーイズ(原題) / Good Boys』