広瀬アリス、東京国際映画祭フェスティバル・ミューズの経験を女優の糧に
第32回東京国際映画祭
第32回を迎えた東京国際映画祭でフェスティバル・ミューズ広瀬アリスが、大役への思いを語った。一昨年『巫女っちゃけん。』、昨年『銃』と『旅猫リポート』で東京国際映画祭に参加した経験を持つ女優・広瀬は過去2回とは違い「プレッシャーが半端ないです」と苦笑いを浮かべる。
映画への思いをキラキラした瞳で語る【広瀬アリスインタビューカット集】
広瀬にとって、一昨年の第30回東京国際映画が、インターナショナルの映画祭デビューとなった。その際、レッドカーペットに映画関係者が一堂に会する雰囲気や、国内外からのメディアによる取材など、見るもの聞くものすべてが新鮮だったという。「ゆっくりと長い時間をかけて、取材に応じたり写真を撮ったりするのですが、そのときのことはほとんど覚えていませんでした。それだけ興奮状態だったんです」と招待される側として参加した映画祭の感想を語った。
そんな中、今年は映画祭の顔として、日本国内のみならず、海外からの映画関係者やファンを迎え入れる立場となった。まもなく映画祭開幕となるが「本当にド緊張の一言です。ミューズですからね。プレッシャーに弱いタイプなので、緊張しすぎて変なことしないようにしなければ……と余計なことばかり考えてしまっています」と率直に現在の心境を明かした。
しかし、不安な気持ちがありつつも、「映画祭というのは、さまざまな映画に触れ合う大切な機会。多くの方々が、自分にとって“大切な一本”に出会えるように、少しでも映画祭の魅力を伝えていければいいなと思います」とフェスティバル・ミューズとして強い気持ちで映画祭に挑む。広瀬自身も、これまでの人生ので、映画との出会いにより前に進む力をもらったことがあったという。「9日間という開催期間中に、多くの作品や人と触れ合うことで、自分自身が映画への向き合い方がどのように変わるのかということにすごく興味があります。その変化を楽しみたい」と目を輝かせた。
本映画祭には新しい映画ファン、そして映画クリエイターを創出する意義を持つ、「映画の未来の開拓」という大きなテーマがある。自身にとって大きな意味を持つ作品について、「17歳のときに『スープ ~生まれ変わりの物語~』で共演した松方弘樹さんに教えていただいた『バーレスク』という映画でした。それまでは、なかなか外国映画を観ることがなかったのですが、この映画を観たとき、自然と涙があふれてきたんです。クリスティーナ・アギレラさん演じる主人公の名前がアリというのも、自分の名前と似ていてすごく親近感がありました」と思い出深い映画体験を明かした。『バーレスク』との出会いによって、洋画にも興味を持ち始めたという広瀬は、広く世界の映画に触れるとともに、同じ作品でも繰り返し観ることによって、感じ方が変わってくるという映画の奥深さを知ることができたという。
これまで、自身が携わった映画のプロモーション活動は精力的に行ってきた広瀬だが、映画自体の魅力を伝えるのは初めての経験となる。「映画って言葉や文化を超えていくものだと思っていますが、それだけにさまざまな価値観があると思うんです。多様な見方ができるものを、自分の言葉で魅力的に伝えるのは、すごく難しいこと」と難役を任されたことへのプレッシャーを感じつつも、一つの作品に対して、各国のメディアから掘り下げた視点で質問されるなど、女優としても大きな学びになるだろうと期待に胸を膨らませている。「貴重な時間をしっかり過ごして、これからも女優業をどんどん頑張っていきたいです」と力強く語っていた。(取材・文・写真:磯部正和)
第32回東京国際映画祭は10月28日から11月5日まで六本木ヒルズほかにて開催