押井守監督「高校生のドラマ」に挑戦 監督絶対主義の新レーベルに意欲
映画実験レーベル「Cinema Lab(シネマラボ) 」の設立会見が5日、都内で行われ、同レーベルに参加する本広克行監督、押井守監督、小中和哉監督、上田慎一郎監督が出席した。
「Cinema Lab(シネマラボ)」は、参加監督たちが、日本映画界に多大な影響を与えたATGこと日本アート・シアター・ギルドに着想を得て発起したもの。監督の作家性を最大限に活かす「監督絶対主義」で映画を制作することを主旨とする。第一弾として『踊る大捜査線』シリーズの本広監督による『ビューティフルドリーマー』が11月6日より公開されるほか、今後も参加監督の新作が順次公開される予定だ。
押井監督は冒頭、本広監督や小中監督らからこの企画を聞いたときのことを振り返り、「レーベルを立ち上げるのは難しく、監督主導だと内輪もめになりがちだけど主旨は大変結構。監督が試される企画でもあるし、とりあえずやってみようかって思った」と参加を決意した経緯を説明。「基本的にはいろんな監督に参加して欲しい。撮りたいと思っている監督はたくさんいるはず。僕の周りにも山ほどいる。そう思いつつ、俺にもたくさん撮らせろって」とジョークも交えつつ、「やるからには続けることに意味がある。どうか長い目で見てやって欲しいです。いい形で成功して欲しい。若い監督にはいい形で活躍して興行的にも成功して欲しい。日本映画界がまだまだやれるということを見せたい」と願いをこめた。
押井自身は、今回の企画でこれまでやったことがない作品に挑戦したとのこと。「小中さんが今回、最近の映画は高校生の話が多い、(4人の企画は)高校生という縛りでやらないかって。考えてみたら高校生の話をやった経験はアニメを除けばほとんどない。最初はうーん……ってなったけど、思えばちゃんとしたドラマをやったことはない。自分が苦手だったこともあるし、普通にドラマを作るというのをやってみようって。そう考えたらやる気が出てきた」と若者をキャスティングしたドラマ部分に主体を置いた作品になるとコメント。
「今回はキャスティングからものを考えようってやっています。そういう部分でこれまで格闘したことがない。うまくいくいかないはおいといて、監督の自分の資質に対する挑戦、今までやってこなかったことをやろうって思う」と意欲を見せた。
本広監督は「続けていく企画。たくさんの人に見てもらえる愛される企画。そういうシリーズになっていくといいなって思います」と本企画へ期待を込める。小中監督も「4人そろってこういう場が実現してすごくうれしい。監督主体で作るとこんなに面白いものができるというのを実現しないといけない。そういう責任感で取り組みたい」と意気込み。上田監督は「自分も取りたいと思えるようなレーベルになるといいなと思います」と話していた。(取材・文:名鹿祥史)