まるで別人!田中俊介、トランスジェンダー役で艶やかな輝き
草なぎ剛主演の映画『ミッドナイトスワン』(公開中)で、もう一人のトランスジェンダーを演じる田中俊介。これまで度々組んできた内田英治監督のもと、鮮烈な存在感を放つ彼の魅力に迫る。
本作は、新宿のショーパブで働くトランスジェンダーの凪沙(草なぎ)と、ネグレクトされた親戚の少女・一果(服部樹咲)の絆を描く物語。田中は、これまで内田監督の「シェアハウス」(2016・OV作品)、「キスのカタチ」(2016)、「Iターン」(2019※ゲスト出演)などの中編・ドラマに出演。長編映画でのタッグは、2017年公開の初主演作『ダブルミンツ』以来となる。
田中が演じるのは、凪沙と同じショーパブで働く瑞貴。セミロングのウイッグに厚めのメイクを施し、一見本人とわからないほど艶やかな雰囲気を醸し出している。瑞貴は、凪沙と同じく生きづらさを抱えたキャラクターだが、内田監督いわく「芯がぶれない凪沙と違い、時代や環境に翻弄される弱さがある」のが特徴。
瑞貴は凪沙にとって、トランスジェンダーとしての孤独や悲しみを分かち合い、互いに助け合って生きてきたかけがえのない仲間。そんな瑞貴に求められるのは「フレッシュな俳優で、役柄の内面をよく理解してくれること」だったという。内田監督は田中の芝居に対する熱量をかっており、これまでに築いた信頼関係もふまえ、この難役を田中にオファーした。
凪沙を演じる草なぎは本人が役に同化するタイプだったためリハーサルも行わず、ほぼぶっつけ本番が多かったというが、田中の場合は全く異なるアプローチ。内田監督は「よくカラオケで役柄の内面や行動をリハーサルした」と振り返っている。
エンターテインメント集団のボイメンことBOYSANDMENを脱退してから約10か月。2020年4月より堤真一や渡辺えりらベテランが集うシス・カンパニーに所属し、俳優として着実にキャリアを積み重ねてきた田中。今後、ホラー&バイオレンス映画の鬼才・白石晃士監督と組んだ主演映画『恋するけだもの』の公開を控えている。(編集部・石井百合子)