『トロールズ ミュージック★パワー』はフェルト素材と色に注目!日本人スタッフが語る
映画『トロールズ ミュージック★パワー』で照明を担当したリードライターの原口宇内が「とにかく大変な映画」だったという同作の制作と、約18年にわたるドリームワークス・アニメーションでの仕事について語った。
ふかふかでカラフルな髪の毛でおなじみのトロール人形を題材に、歌って踊ってハグすることが大好きなトロールたちの姿を描いた本作。彼らが暮らす、フェルトで作られたような世界はカラフルで温かくかわいらしい。
しかし、実際にその世界を生み出すのはかなり大変だったそうで、原口は「ライティング担当からしてみると、世界がフェルトでできていて、川や滝の水も布やキラキラしたテープだったりということで、いろいろな苦労がありました」と振り返る。「CGはコンピューターで計算するじゃないですか。フェルトのような細かい毛をきれいに、映像として連続させるにはどうしてもコストが高くなってしまうんですよね。なので、いかにコストを抑えながら作業を進めていくかというのが今回の大きなテーマでした」
特にこだわったのは「色」とのこと。「ものすごくカラフルな作品なので、色にはとことんこだわって作りました。色を押し出すのにものすごい時間を費やしたので、ぜひそこに注目していただければと思います」とアピールした。
ちょうど『シュレック』が発表された後、ドリームワークス・アニメーションのチャレンジ精神に魅せられて入社を決めたという原口。その社風を生んだジェフリー・カッツェンバーグCEOが去り、ユニバーサルを傘下に持つコムキャストに買収されるなど大きな変化もあったが、「仕事のカルチャーは保持されているので、そこはありがたいですね。一時はそんな大きな会社が親会社だといろいろ変わってしまうのかなという懸念はあったのですが、そんなことはなかったです」と内情を明かす。
手掛けた中でも特に思い出深い作品は『ヒックとドラゴン』と『カンフー・パンダ』シリーズで、原口はどちらも3作全てに携わった。『ヒックとドラゴン』の第1弾と第2弾では『ブレードランナー 2049』『1917 命をかけた伝令』などのオスカー撮影監督ロジャー・ディーキンスと同じ部屋で作業をすることになり、「フィードバックを直接くださったりして楽しかったです」と笑みを浮かべる。
さらに実写の名撮影監督との仕事は「衝撃でしたね。CGでもこういう映像を作ることができるんだ、という」と新たな気付きもあったという。「それまでのドリームワークスの映画ってすごくカラフルで明るくてというのが多かったんですよね。でも『ヒックとドラゴン2』から撮影にディーキンス節がさく裂して、ものすごい光のレベルを落とした暗いシークエンスがあったり。当初はアニメーターから『アニメーション付けたのに顔の表情がよく見えない……!』と文句が出たこともありましたね」と笑って振り返っていた。
『トロールズ ミュージック★パワー』は日本でも公開されるという点でも、原口にとって特別な作品となった。「ドリームワークスの映画って結構日本公開しなかったりとか、直接DVDになってしまったり……。別にそのために仕事しているわけじゃないのですが、日本に家族もいますので、出来上がった映画はなるべく家族にも観てもらいたいし、日本の人にも観てもらいたいと思っています。『トロールズ』はそういう点でもうれしかったんですけど、すごくポジティブな映画で、作業していて苦労があれどもすごく楽しく、込められたメッセージもとてもいいものだと思います。観れば楽しいと思うので、ぜひ観ていただきです」と呼び掛けた。(編集部・市川遥)
映画『トロールズ ミュージック★パワー』は公開中