のん、中村倫也は「とってもいい声」3人で作りあげた芝居を振り返る
女優ののんが19日、都内で行われた映画『私をくいとめて』公開記念舞台あいさつに来場、ヒロインの脳内相談役「A」の声を担当した中村倫也との撮影を「(音声さんも合わせて)3人で作りあげた」と振り返った。この日は林遣都、臼田あさ美、若林拓也、片桐はいり、橋本愛、大九明子監督も来場した。
芥川賞作家・綿矢りさの小説を映画化した同作は、脳内の相談役「A」からアドバイスを得ながら生活する30代独身女性・みつ子(のん)の不器用な恋を描くラブストーリー。この日、大勢の観客の前に立ったのんは「皆さま、今日はお越しいただきありがとうございます。本当にこの日を迎えられてうれしく思います」と感激の表情を見せた。
イベントでは、これまでシークレットにされていた脳内相談役「A」の正体が中村であることが明かされることになった。“声のみ”でイベントに登壇した中村は「ご来場の皆さま、ビックリさせてごめんなさい。脳内相談役Aの中村倫也でございます。今までずっと口止めされていて。口止めの意味があったのかと思いながらも口止めされていたんですが。今日、こうやって解禁されてうれしいです」と喜びをにじませる。
さらに、劇中にはAの外見が登場することについて「ちょっと違う倫也がいたぞと。そこは非常に笑わせていただきました」と語ると、映画についても「とても楽しく拝見させていただきました。女性だけでなく、男である僕としてもこういう時あるなと、僕の中にも脳内相談役Aがいるなと寄り添う気持ちで観させていただきました」とコメントした。
そんな中村との撮影について、「事前にAの声を収録していただいて。それを流しながら掛け合いの演技をやりました。なので、A(中村)と、(タイミング良くセリフを流す)音声さんとの3人芝居。3人がかりの演技かなと思っていました」と明かしたのんは、「だんだん息が合ってくるというか。待ち時間にみんなが悩んだりとか、話していることに対して、Aの声を出してくれたりして。楽しく撮影が進んでおりました。すばらしい返事がたくさんあったので、とってもいい声でした」と笑顔を見せた。
また、2013年放送の朝ドラで共演した片桐、橋本とのんの再共演も話題となっている。みつ子の上司で映画オリジナルキャラクターの澤田を演じた片桐が、「あこがれの上司という役なんですけど、監督が海外を旅した時の話なども聞いていたので、モデルは大九明子かなと思いました」と語ると、大九監督は「自分の経験を書いたというのはありますけど、自分がモデルということはまったくなく。31歳の女性が、年の離れた上司と話すときにジェネレーションギャップだけど、知らなかった時代のことを教えてくれて、へえ、となるような存在がいいなと思って。すてきな、カッコいいルーシー・リューみたい感じということで完全にあて書きしました」と説明。
片桐も「そういう意味でのんさんとは長いお付き合いで。親戚のおばさんみたいに応援しているんですけど、上司という役をやらせていただいて。30になった(役柄という)のんさんというのはいろんな感慨がありますね」としみじみ。のんも「めちゃくちゃかっこよかったです」と笑みをこぼした。(取材・文:壬生智裕)
映画『私をくいとめて』は公開中